劇場公開日 2017年7月1日

「最後に、無門がお国に言う言葉がすべて」忍びの国 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5最後に、無門がお国に言う言葉がすべて

2017年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

映画は、原作の軽さをうまく周到していてた。
個人的にその軽さは、薄っぺらさを感じるもので、けして好印象のものではない。だいたい、下忍たちは銭に眼がくらんでいるし、十二家評定衆も我欲の塊で、出てくる忍者どもはろくでなしばかりだ。侍との対比がさらにその感を際立たせていた。
無門でさえ、人殺しをしても屁とも思わないし、自分の技が優れていることを好いことに好き放題だ。だから、アクションに興味がなければつまらない映画で終わってしまう。
だがそれではこの物語が伝えたいものを見失うことになる。
すべては、お国の問いかけに無門が答えた言葉に尽きる。(そりゃあなんと言ったかは映画を、または原作を読んで)
その生い立ちを思えば、現在の無門の背景がよくわかった。そして切なくなった。なぜ、銭に執着するのか、人を人とも思わないのか、そしてお国に好かれようとするのか。
哀しいねえ、忍者は。

栗太郎