劇場公開日 2016年11月26日

「90年代後半の英音楽業界の裏事情を覗き見する気分」マッド・ドライヴ AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

3.590年代後半の英音楽業界の裏事情を覗き見する気分

2016年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

興奮

原作小説を書き、脚本も担当したジョン・ニーブンは、英国の音楽業界で10年働いたのちに専業作家になった。そんなわけで、一般の人には知り得ない業界の裏事情がリアルに描かれているのが最大の見どころ。会議でボスの顔色をうかがいながら失言しないよう苦心する様子など、シニカルなエピソードに笑わされた。

90年代後半、ブラーやオアシスといったブリットポップが流行していた時代の話なので、当時の音楽が好きな人なら一層興味深いはず。まあ、ニコラス・ホルトが扮する野心家の主人公が、出世のために邪魔な同僚を殺してしまうなど、現実的な範囲から逸脱してやり過ぎな感もあるが、どんな業界でも実際に起きる足の引っ張り合いを誇張したものだと解釈できなくもない。

良識も善意も愛情も無用。手段を選ばずにのし上がっていくアンチヒーローものが好きなら、そこそこ楽しめるだろう。

高森 郁哉