「イマイチだが否定も出来ないビミョーな内容」鋼の錬金術師 でいさんの映画レビュー(感想・評価)
イマイチだが否定も出来ないビミョーな内容
二度のアニメ化をされた荒川弘(女性)の傑作漫画原作映画。
山田涼介を主人公《鋼の錬金術師》エドワード・エルリックに、ヒロインでエルリック兄弟の幼馴染みでオートメイル技術者のウィンリィ・ロックベルを今井翼、エドの上官で《焔の錬金術師》ロイ・マスタング大佐をディーン・フジオカが演じ、鎧の弟アルフォンス・エルリックはVFX。マスタングの戦友でエドたちの兄貴分で惜しまれて死ぬマース・ヒューズを佐藤隆太が演じた。
敵方はホムンクルスの現場指揮官《色欲のラスト》を松雪泰子、《暴食のグラトニー》を内山信二、《嫉妬のエンヴィー》を本多奏太が演じた。
それぞれ異論はあるかも知れないもののなかなか妥当なキャスト(特にホムンクルス組)であるのだが・・・。
アレっ、黒展開の物語をコメディリリーフする《豪腕の錬金術師》アレックス・ルイ・アームストロング少佐が居ねぇ。
後の二部作では山本耕司らしいけど、イメージや体格的に似合わんし、《強欲のグリード》またはリン・ヤオ(渡邊 圭祐)・・・つーか「両方」の方が如何にも胡散臭く、「シン・ウルトラマン」でメフィラス演じた山本耕司で良くない?
エド、アルの鬼師匠で病弱の暴力主婦イズミ・カーティスも居ねぇ。(やはり後の二部作では遼河はるひらしいが)
キング・ブラッドレイも居ない。(後の二部作では舘ひろしだってさ、滅茶苦茶楽しみ)
つまり、出ていない人は全く出ていないので物凄く物足りない。
スカー編と完結編では復讐のイシュヴァール人で傷の武僧《スカー》を新田真剣佑。(スカーまで出て来ないせいで大泉洋サンのショウ・タッカーが物凄く可哀想なことに)
賢者ヴァン・ホーエンハイムことエルリック兄弟の実父とラスボス《お父様》が内野聖陽の二役(容姿そっくり属性真逆と考えると妥当ですよね)。
アームストロング少佐の鬼姉ちゃんオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将を栗山千明(ですよね、キルビってください)。
原作ではひたすらお寒い人(原作序盤の列車誘拐未遂事件で耳を負傷し、マスタング派のクーデターではほぼ茅の外)だったハクロ将軍をコヒさんが演じて不死身兵士を出す係だったけど、なんかイマイチだった。
そして明らかに続編のキャストの方が豪華だし、眼帯付けて二刀流で戦車斬りして暴れ回り、渡邊 圭祐や新田真剣佑と激闘する舘ひろしには今からゾクゾクするし、その息子を詐称する《傲慢のプライド》も寺田心クンなので邪悪児童ぶりも楽しみ。
原作に忠実であるならば、「女は精神的にも打たれ強さも滅茶苦茶強い」が下敷きにあるべきで、最後にエドを尻に敷く鬼嫁に落ち着くバッシーのウィンリィと、人体取り戻したアルとくっつく凶悪パンダ使いチャイナ娘のランファン、最愛の人というより、師(父)の呪いに近いパートナー役で、物語の佳境では文字通りマスタングの目となる蓮佛美沙子のホークアイ中尉たちが可愛ええ(冷静に考えると十分鬼どもだが)と思うほど、アームストロング少将とイズミ師匠は鬼の中の鬼でないと。
VFXの《怠惰(神速)のスロウス》相手に果敢に立ち向かう鬼姫二人とシンクロした筋肉ダルマ二匹の共同戦線は原作屈指の見せ場の一つ。
原作ではドロップアウトが早すぎた松雪泰子の《色欲のラスト》もどっかで出てきて(奏太エンヴィーが化けた姿でも)も文句言わない。
そんなわけで、後の二作を観る前に一応抑えておくべきだけど、過度に期待してはいけない。
シナリオ配役云々でなく、居るべき人が作中にいないとこうも物足りないかということです。