「テロとの戦いは、まさに現代の戦争である」相棒 劇場版IV 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
テロとの戦いは、まさに現代の戦争である
在英日本領事館で集団毒殺事件が発生した。
関係者全員死亡し、唯一の生き残りは幼い少女。
しかし、その少女も何者かによって連れ去れてしまい、未だ行方が知れない。
それから、7年。
国際犯罪組織によって外務省のホームページがハッキングされ、その脅迫映像に成長した少女(山口まゆ)の姿が写っていた。
犯罪組織は政府に身代金を要求する・・・
というところから始まるハナシは、なかなか込み入っており、件の国際犯罪組織を追う国連犯罪情報事務局の元理事(鹿賀丈史)や組織の首謀者と思われる刺青の男(北村一輝)などが登場し、テレビシリーズでの人気エピソード「赤いカナリア」の話を思わせる。
犯罪組織が狙うターゲットそのものもわからず、先の毒殺・誘拐事件をもみ消そうとした元英国大使(江守徹)がターゲットかと思いきや、50万人の見物客をターゲットにした無差別テロではないかと特命係ふたり(水谷豊、反町隆史)が突き止め、サブタイトルの『首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』と相成る。
テレビシーズも担当している太田愛の脚本はなかなか骨太で、さらに太平洋戦争時のエピソードも加わり、「相棒史上、最も切ないラスト」という謳い文句も伊達ではなかった。
その上、時節柄を反映して描かれる「テロとの戦い」に対する視線は、なかなか辛らつ。
「国境を持たないテロ組織との戦いには終わりがない」「日本人というだけで、殺される・標的にされることになるのです」と、かなり核心を突いた台詞も登場する。
エンディングもなかなかショッキングで、現在放映中のシリーズの1エピソードの枠を超えて、今回のシリーズの最終話に相当するのではないか、とも想像される(なにせ、事件が起こるのは夏の時期でもあるので)。
そう考えると、さてさて、現在のシリーズがこの映画にどのように上手く繋げていくか、そこいらあたりも愉しみになってきました。