「映画ならなんでもできる!」お嬢さん redirさんの映画レビュー(感想・評価)
映画ならなんでもできる!
パクチヤヌク監督ならでは、な、設定が想像を絶する物語、
日本語タイトルお嬢さん、だが、予備知識なしで見たのでお嬢さん程度の方のお話かと思いましたが
お嬢様 の物語であり、
またエンドロールで、英語で、handmaiden というようなタイトルが出てきたように見えたが、韓国語のタイトルは知識語学力なくわからないが、原題というが英語タイトルは侍女のほうなん??とまたタイトル気になる作品でした。
日本統治下の朝鮮半島、下世話に出世意欲や一攫千金、成り上がりを目指し半端なく努力と才能を発揮する人間、なりすましの貴族、読書家という名のもと特殊読書の愛好家というかまあ単なる金持ちの変態が群がるお屋敷にたどり着いた泥棒詐欺ファミリー(血縁なくても事業ファミリー)
その若い女スッキと成り上がり詐欺師の伯爵と深窓のお嬢様の、生死をかけた、化かし合いと真の愛、性愛の物語、それぞれの目線からの第一部第二部そして事後譚として第三部、という構造で、ちょっとした不可解なセリフや情景がだんだん解き明かされていく過程が面白く、難解さもそこで解消され、お嬢様と侍女が類稀なる身体も心性も美しく、なりすまし伯爵は羽振り良い時も最後の痛みと死に至る時までクールにカッコよく、出てくる男はことごとくゲス野郎という完璧さ。
韓国人訛りの日本語で正しく語られる物語、このパラドックスもよい。
さすがパクチヤヌク監督と思うし、このような発想設定自体が、韓国映画の醍醐味であり、
日本憎しなんだけど日本というコンテンツに憧れてしまう韓国、日本は日本で和洋折衷大豪邸を作ってしまう日本文化への根拠なき偏愛と西洋文化への圧倒的服従(その裏返しのアジア諸国へのいびつで正しくない擬優越感情的なもの、を映画の中に余すことなく捉えており、
また女性同士の愛は奇怪なものとは捉えられておらず純粋さに溢れておりこれもまた本当に今現在ならやっとこごまで(日本はまだ。LGBTQ への差別を許さないと法律で宣言できないゲスな国、2023年だけどな)アップデートされた愛、その愛の普遍性を余すことなく、自然に描写していて本当に深さという点でもエンタメという点でも(韓国映画の良いところ!)完璧。
映画ならなんでもできる、なんでも見せることができる、なんでも聞かせることもできる、精神世界と現実世界の往還パノラマのような作品であり、耽美的かつコミカルなエンタメ作品でもある。脱帽。