獣道のレビュー・感想・評価
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キャスティングの妙とえげつない角度で作られるブラックコメディ
伊藤沙莉と須賀健太、子役あがりらしい芯のある演技で見応えがあり、中学生から大学生までを演じきれるのはさすがだった。
とはいえ中身は、かいつまんだような展開で、シーンが流れていくような感じでなんとも…。ひとりひとりが居場所を求めてさ迷う様は切なく苦しかった。特に、アントニーと彼女のストーリーは。
体を張った伊藤沙莉の確かな実力と演技力を感じられる作品。頭を空っぽにして、やや身構えて観るのがいいと思った。
こんな宗教摘発事件あったっけ?
地方都市を舞台にしたしがない若者たちが暴発するソフトストーリー。『サウダーヂ』が記憶に新しいけども、この監督はこういう世界観の人じゃないような気がする。
宗教団体が出てくるも、それがオウムの暗喩として見せたいのか、突拍子のない設定に見えて別に良いのか判然としない。
いや、このジャンルはその都市を覆う空気感を鮮度そのままリアルに観客に届けるべきもので、オウムなのであればそのままオウムじゃないとダメなのだと思う。
台詞も方言であるべきだ。平和な日本の裏側にこんな裏側があるのだという事をなるべくドキュメントとして表現すべきで、それを嘘(芝居)にしていく事でこぼれ落ちてしまうものが確実に映画を貧しくする。台詞を話してますよというトーンで表現されるべき世界ではない。映像もこんなに照明テカテカのフィクションですというタッチでは、嘘にしか見えてこない。闇の映画らしくあるべきだ。
全編に張り巡らされた副音声ナレーションは必要なのか?誰に忖度してるんだろう。観客?
『スペアミンツ』は対極にあるフィクション性を突き詰めた傑作だった。この作品はどうだろう。
愛衣より夕夏派!!
確かにタイトル通りの「獣道」という感じで、ヒロインは体一つで混沌とした毎日を送ります。きっと、このような人生は少なくないのでしょう。思春期に観たら衝撃を受けたかも知れませんが、大人になった私にはヒロインは擦れっ枯らしにしか見えず、ナレーションの男の子が何故拘るのか理由が分かりませんでした。愛衣より夕夏の方が美しく、魅力的に映りました。だから他の人のおっぱいは、うーん、という感じでした。田舎町で上下関係が一生続くと思われるのは、愛知で経験した事があるので、しんどいです。同じ監督の「下衆の愛」と並んで、ある人生を切り取った映画には間違いないです。どちらも結末より過程重視な感じでした。
クソみたいな町のクソみたいな話
泥沼人生
B級映画的面白さ
泥の中にも花は咲く
内田監督は、「下衆」とされる人々を描くのが上手いが、性善説の人なのだろう。「泥の中の花」がこの映画を観終わった最初のメージです。
最悪の環境からスタートしたヒロイン「愛」への「亮太」の初恋物語です。
しかし、このヒロイン。最悪の環境から抜け出そうともがくのですが性格に癖がありすぎるし、「亮太」も彼女のために「半グレ」に身を置くぐらいの行動力が有るのに、告白もできないなど感情移入しずらいところがありますが、繰り返される悲喜劇はスピード感があり、引き込まれる力があります。
又、中盤に「半グレ」アンソニーの恋愛がありますがこれが良い。出会い、再会、恋愛が丁寧に描かれていて素直に感情移入できました。特に最後のシーンでは、救われる思いになりました。
「愛」と「亮太」のストーリーとこのエピソードがあることで物語が成立しているように思います。
冒頭のスピード感のある展開、終盤のハッピーエンドとは言えないものの「救済」「再生」を思わせるストーリーは「テンプレ」な恋愛モノとは別に「一見の価値あり」です。
血生臭いのに爽やかな青春映画
大いに観る価値あり
色々詰まってた
今世紀最高傑作!
内田英治監督の作品を映画館では二度目の鑑賞、前の下衆の愛で度肝を抜かれ初めて映画監督に興味をもちました。
他の映画は面白い、面白く無いだけの縛りを持っている気がするが内田監督の作品、作風はそれに縛られていない事がまず素晴らしい!
面白いという表現は簡潔になり過ぎて失礼な気もする(-。-;
監督の映画を見て馬鹿笑いする人もいればドン引きする人もいるのでは
ハードであるからそれがまさにリアリティを増し本能をくすぐるし
人間らしさ臭さが詰まり詰まって
監督作を見てしまうとどうしても他の映画を観ると物足りなさを感じてしまう
獣道何回も観たい!大スクリーンで観て間違い無い!監督はじめ主演、伊藤沙莉や須賀健太他のキャスト陣達に脱帽!
映画は、ヒロインに恋しているが。なかなか本音を言えない須賀健太のナ...
映画は、ヒロインに恋しているが。なかなか本音を言えない須賀健太のナレーションによって。地方の閉塞感と同時に、地元とのしがらみ等が邪魔をし、なかなかこの土地を抜け出す事の出来ない若者達の苦悩が語られる。
彼はヒロイン役の伊藤沙莉に恋しているのだが、なかなかそれを口に出して言う勇気が無い。
毎度下衆な人間を魅了的に登場させる内田監督だが、ヒロインの母親役の広田レオナにせよ。ヤクザ役のでんでんにせよ。下衆な人間がただ下衆なだけとしか描けていないのが勿体無い。
特にでんでんに関して言えば、常にチュッパチャプスを咥えている辺りはとても面白く。いかようにも魅了的な下衆な男として描けた筈だと思うのだけど…。
そして、若手女優さんの中でおっちゃんイチ押しの伊藤紗莉ちゃんだが。難しい汚れ役に体当たりで演じていた。
しかし、流石にまだ2時間とゆう尺の長さの中で輝くにはまだまだ早かった様だ。
新興宗教からヤンキー。キャバ嬢を経てAV女優とゆう、いわゆる典型的な絵に描いたよう様な転落劇。
でもその転落劇を、観客側に感情移入させるにはかなりの力量が問われる。
特に須賀健太のナレーションによって話が進んで行くこの作品の場合。実質的な主役は須賀健太で有る筈なのだが、実のところ彼自身はそれ程多く画面には登場しない。従ってヒロイン本人側からの話。(例えば近藤芳正の家族との絡みの場面等)は、その場に彼は居ない訳で。それら感情表現を爆発させる場面等では、映画全体に歪な雰囲気が出てしまう結果となってしまっている為も有るだろう。でも結局のところ、伊藤沙莉本人の演技の質によるところが大きいのかも知れない。
このヒロインは自分の居場所を絶えず探し求めている。その必死な姿に共感こそするものの。周りとの関係から起こす行動等は、なかなか感情移入し辛い人物像で有るし。元々彼女自身が、朝ドラのヒロインに抜擢される様な清純派とも、ちょっと違う感じがするのも少なからず関係するのかも…と。
個人的には、安藤玉恵や江口のりこの様に、ワンシーンの出演のみで画面をさらう様な方面に進むのが良いのでは…と、映画を観ていてちょっと思った次第。
でも今の若手女優さんの中ではピカイチの存在だと思っているのは確か。
そして映画はアントニーと韓英恵の2人の恋愛劇が中盤から始まるのだが。この恋愛劇には基本的に須賀健太のナレーションは無い。
だがこの恋愛劇が本当に良い。2人の出会いから再会・恋愛話。それらは、キャラクター・台詞のやり取りを通じ。観客側に充分感情移入させる様に描かれている。
但しこの2人の話が進んで行く反面で。肝心な主役で有る筈の2人。須賀健太と伊藤沙莉の片想い劇が、逆転現象を起こしており。作品全体を更に歪にさせてしまっている気がする。
アントニーはもらい役。今後は俳優業が忙しくなると思う。
終盤にかけての吉村界人の壊れっぷりもなかなか良かった。
(2017年7月17日 シネマート新宿/シアター1
Miss PenPen
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