「食卓の風景がこの作品の象徴か?」淵に立つ Bluetom2020さんの映画レビュー(感想・評価)
食卓の風景がこの作品の象徴か?
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微妙な関係は冒頭の食卓風景のアンバランスで始まる。新聞を見ながら勝手に食べ始めている父親と、祈りをすませて食べ始める母と娘の光景は違和感と緊張感が漂う。家族間の視線は交差しないが、それでいて均衡は保っている。そこに、ある日突然の訪問者が加わり、に均衡が崩れる。ホームドラマの和気あいあいの食事風景と全く違う。家族とか食卓で象徴されるうわべの円満さを否定するような監督の思惑を感じるシーン。後半、テレビカメラで娘の様子をチェックするシーンでは、家族の食卓の崩壊を象徴する。
全編通して、冷徹で緊張感を隠さないカメラワークと、通じる会話や視線の少ない演出。後味が悪いので、みんな息を吹き返してくれと祈りたいエンディングだった。
秘密と告白。意外に簡単に長年の秘密が告白される。墓までもっていかないのかと拍子抜けする自分がいた。
出演者はいずれも適役で名演だった。なかでも筒井さんの前後半の違い、特に後半のだぶついた腰回りだけで年月と苦労が滲み出る演技で、彼女の役者魂を感じた。ふとシャーリーズ・セロンの出演作を思い出した。
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