「この期に及んで」淵に立つ 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
この期に及んで
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深田監督『歓待』『さようなら』も面白かったけど、本作、肚を据えた感じがして、すんごく面白かったです。
家族とか、友情とか、そういう共同体を一切信じてない感じが振り切ってて良かったです。
一切信じてないというより、信じてないのに共同体が成立しているように振る舞う気持ち悪さ…例えば古舘寛治さんのセリフ「おれたちは本当の家族になれた」…などを描いているのが面白かったなあと。
古舘寛治さんホントに気持ち悪かったですが、家族のかすかな絆を探る太賀さんは気持ち悪くなかったです。彼は本気で探しているわけだから。そういう強弱が良かったです。
妻役の筒井真理子さんが走り出すシーンが印象的で。あそこは、子どものためでも夫のためでも信仰のためでもなく、ただ単に好きな男が見つかったかも…と走り出す。恋のせいでどん底に落とされているのに。
この期に及んで、恋かよ。と思いました。
その筒井真理子さんが美しかったです。アンナ・カレーニナとか、『浮き雲』のゆき子とか、そういう古典を彷彿とさせるような美しさでした。
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