「絶望の淵。」淵に立つ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望の淵。
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一見平凡で平和に暮らしていたはずの家族が、ある男の出現
によって徐々に破壊されていく。冒頭から居心地の悪さだけ
強調された不穏な描写が続くが、男の素性が明らかになった
瞬間に見せる浅野の表情がエラく怖い。夫が事情を明かさぬ
まま勝手に居候させることに異を唱える妻も娘も、やがて男
の礼儀正しく親切な術中に嵌り、その後の不幸を呼びよせる
ことになるのがやるせない。もし自分が妻の立場だったなら
どうしただろう…と後悔先に立たずの精神疲労と老いぶりが
見事な筒井の化け姿に背筋が凍る。これは耐性ホラー映画だ。
男の目的は最初からそういうことだったのだろうか、或いは
元々の潜在的要素なのだろうか、様々な思いが脳裏を巡って
どうかこれ以上…と思う後半も意外で容赦のない展開が続く。
観客まで絶望の淵に立たされてしまう不条理を味わえる作品。
(夫の過去、妻の秘密、何をどうすれば良かったんでしょうか)
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