奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのレビュー・感想・評価
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歴史を学ぶ意味。
歴史が勉強科目として苦手な人がいるかもしれない。
ペンは取らなきゃいけないし、全く聞いた事もない名前を覚えるのは難しい。
そんな時は、その時代をテーマにした映画を見るのが一番だと思っている。たった3文字にも満たない国や人の名前にも、そこには必ず"ストーリー"があるからだ。
『奇跡の教室』劇中の授業で、担任のゲゲン先生が一枚の絵を生徒たちに見せるシーンがある。
キリスト教がイスラム教を侮辱するその絵を説明する事は、20以上の人種と宗教が入り乱れたフランス国民(生徒)にとって当然タブーだった。日本人から見れば、いつものようにイスラム教徒は憤慨し、その他はただそれを見つめるの光景だ。
だがその時ゲゲン先生は、"ちゃんと考えて欲しい。この絵には、プロパガンダ(洗脳)用に作ったという"意図"があるの。"
ここで生徒達は、自分達が今ここにいる意味と、それを受け入れる準備ができたのだ。
ここまでの話は冒頭にすぎないが、彼らの努力や葛藤は、説明したシーンよりはるかにあなたの胸を強く打つと思う。後からこの作品の製作秘話も読んで納得できた。
あと1つだけ、歴史というのは儚いもので断片的である。調べようとしても、そこには文字しか情報がないのである。しかし、あなたが考えて行動して考え抜いた時、その点と点が線となって、あなたの人生をより豊かにしてくれると信じている。
その点となるには十分すぎるくらい良い映画だった。
人は変わる
これって実話?マダムの信念が子供達を動かす!
これって実話?と思ってしまうほど、よくできたストーリーで、やっぱり実話は小説よりも奇なんだなぁ…と改めて思い知らされました。
問題児クラスを担任することになったマダムゲゲン。学級崩壊といっても過言ではないクラスに、クラス全員で強制収容所の現実を研究するコンクールに出ることを提案する。
まぁ、よくある話といえばよくある話なんですけどね。
はからずも強制収容所って誰もが教科書で習うけど、なぜ番号で呼ばれていたのか、なぜ強制収容所の死体は坊主なのか…とか、今まで考えたこともなかった角度からナチスの所業を考えさせられるきっかけになりました。
また、その過程で、人間の尊厳や人という事を考えるきっかけとなり、生徒達は少しずつ自ら考え、人として成長していく…
なんか、忘れてたものを思い出すという感覚
当てはまる映画でした。
受け継ぐ者たちへ
息子
不良の生徒達の変化に、心震える
原題の方がいい
劇的な感動とかはないけれど◎
映画館でこんなに泣き続けたのは初めてだ!
内容はとってもシンプルで、不良クラスが先生の一存でコンクールを目指しちゃう話。普通にあるんだよね、こういうのは。天使にラブソングを、とか。でもこれはそのコンクールってのが重くて、集団虐殺について。
やっぱり歌とかダンスとかとは違って、絶対受け入れづらいと思うし、取りかかりづらいと思う。それをよく(細部は描かれてないし急にみんな参加し始めた訳だけど)まとめたなあと。
生徒の個性はよく描かれてるんだけど、プライベートとか深いところまでは見せない感じも良かった。
しかもこの話の難しいところは、宗教とか人種差別とかも全部ひっくるめてるところ。そこからなぜ虐殺が起こったかとかに繋がるんだけど。
最後、メアリー?のスピーチで被害者と同じことを言ってたのが良かった。本当に後継って感じがして、こういう意味があったんだなと思い知らされた。
順位の発表では観客も含めて一体になったと思う。感情が弾けた。
これは義務なんだと思いたくなった
様々なシーンで考えさせられる
とにかくいろいろな視点で考えを巡らせられる内容でした。
ナチス強制収容所という場所が生まれた背景とその罪深さを改めて考えさせられるだけでなく、現在のフランスであっても人種や宗教による差別、仲違いが絶えず永遠に考え続けなければならないテーマであることを、あらためて認識。
また、教室で繰り広げられる風景が、日本の教育とは明らかに違う。
一人一人が内容を自分ごとと捉えて怒ったり、本気で悲しんだり、苦しんだり。
自己主張が素直で激しい様子は、受験のための詰め込みのための教育である日本とは全く違っていて、すこしうらやましく感じてしまいました。そういう演出なのかもしれませんが。
いつも日本で普通に生活していては気づかないけれど、世界ではあたりまえの光景を垣間見た感じです。
第二次世界対戦時のホロコーストについて深く知見があったほうが、もっとのめり込めるかな、というところ。見終わったあと、もっと歴史を振り返り、今のISの問題に対しても理解したいという動機が生まれてくる内容でした。
生徒達を信じる厳格教師と歴史を語り継ぐ大切。
人間として歴史を理解するということ
パリ郊外の公立高校。
歴史教師アンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)が担任を受け持つのは、1年生の中でも成績が悪い生徒たちが集まったクラス。
他民族国家フランスの縮図のように、そのクラスも種々さまざまな人種がいる。
生徒たちは、良く言えば、自我が強く、悪く言えば、わがままなガキんちょばかり。
しかし、ひとりひとりの生徒を尊重するゲゲン先生は、みんなから信頼されていく。
そんなある日、ゲゲン先生はみんなに提案する。
ナチスに虐殺された子どもや若者たちについて考え、その内容を全国歴史コンクールで発表しないか、と・・・
というストーリーは、実話の映画化で、当初、反発しあっていた彼らが、テーマに取り組むうちに、互いを理解しあっていく。
ストーリーだけを書くと、お定まりの映画ということになるのだけれど、根底にあるのが、フランスの他民族性。
この高校だけでも、29もの人種の生徒が通っているから驚き。
見た目はもちろんのこと、宗教、習慣も様々。
互いを理解することは、なかなか難しい。
そんなあたり、この映画では巧みに描いている。
ひとつは冒頭のエピソード。
卒業間近の3年生のイスラム教の生徒が、学校に卒業証明か何かを受け取りに来るシーン。
まだ在校中なのだから、校則で決められたスカーフ禁止を守れ、守らないと学校に入れない、と騒動になる。
過去の歴史を振り返る映画かと思っていたので、このエピソードによって、過去と現在は根本のところでつながっている、大きな違いはないのかもしれない、と意識させてくれる。
もうひとつは、カトリック教会に描かれた宗教画をゲゲン先生が説明するシーン。
天国と地獄が描かれた画であるが、地獄のなかにモハメッドが描かれている、と説明する。
これにより、教室内は騒然となり、殺気立つ。
しかし、先生は、こう続ける。
「この絵が描かれているのは、カトリックの教会です。つまり、彼らにとってイスラム教徒は敵であり、地獄に落とすべきだと考え、敵愾心をあおるプロバガンダなのです」と。
ほほぉ、フランスの教育は進んでいる。
一方的な見方をしないことを教えている。
歴史=過去に起こった出来事=覚える、ではなく、歴史=過去に起こった出来事はなぜ起こったのか=理解する、である。
理解することは難しい。
相手のみならず、自分を(特に自分の非も含めて)受け容れなければならないからである。
この授業のエピソードがあるからこそ、後半のナチスの虐殺に関するテーマが活きてきて、生徒たちが互いに理解し(理解しようとして)歩み寄るところが活きてくる。
コンクールで1位を獲る(獲った)から素晴らしいのではなく、見た目も宗教も習慣も異なる生徒たちが理解しようとして歩み寄るところが素晴らしいのである。
果たして日本はどうだ?自分の負の歴史に誠実に向き合っているか?
実話に基づく作品。
高校の落ちこぼれ達が、ナチスによるユダヤ人絶滅政策に関するテーマで全国歴史コンクールに参加する事で変わっていくと言うのは、いかにも学生物語にありそうな話ですが、実話という所が凄い。
もっと『凄い』と思ったのが、第2次世界大戦を巡るナチスの非道の歴史を語り継ぐために、“全国歴史コンクール”と言うものがフランスで催されていると言う事。フランスは戦勝国と見られる所もありますが、実際には一部は枢軸側に居たので、歴史を語り継ぐという事は重要なことなんだと思います。自身の負の歴史に目を向けるということは大変ですが、誠実に実行しているんですね。
この作品は、高校生たちが全国歴史コンクールを通じて成長していくという物語と言うところに感動したんですが、もう一つ、やはりその全国歴史コンクールと言うオブラートに包んで表現したナチスによるユダヤ人絶滅政策の非道さに心を動かされました。こんなことは二度とあってはいけないです。
翻って我が国日本。自分の負の歴史にきちんと向き合っているだろうか。誠実に過去を見なおしているだろうか。そう言う問いかけをされたような気がします。
「きっと彼らにとっては宝物のような出来事」
劣等生だから、落ちこぼれだからといって、皆があんなに素敵な先生に出会うわけでもなく、素晴らしい体験ができるわけでもなく。
だから、彼らにとってはゲゲン先生との出会いも、コンクールへの出場も、まさに「奇跡」。
教室で騒ぐ彼らは本当にやんちゃで子供だけど、ふとした発言や行動がとても大人。これはフランスという移民の多い国で暮らすことにあると思う。そんなシーンが時々出てきます。
評価が若干低いのは、正直「これがアウシュビッツを扱ったものでなけれれば、それほど感動しなかったかも」と思ったから。
ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞。
本編スタート後もわらわら人が入って来たので、気が散ってしまった。最初の10分だけもう一回観たい(笑)。
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