劇場公開日 2016年11月26日

  • 予告編を見る

「キュレーター」グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状 ススギさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0キュレーター

2017年1月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

壁一面につくられた歴史ある木製の引き出しや、現代の移動式棚が、きれいに配されていて美しい。美術館の裏側のイメージが覆された。
修復や展示レイアウトなどの作業を切り取るように撮影しているので、その美術品価値がどうとかはわからない。でも、なんだか知らないがすごいものなんだろうなと思う。すべての人が、それら美術品を慈しんでいて、丁重に扱っている。映画の中で「我々はハプスブルク家の忠順な奴隷」というようなジョークか本気かわからないことを話していた。そうさせるエネルギーがたしかに、そこに所蔵されている作品たちに宿っているように感じた。数も質も驚くほど素晴らしい。世界のトップクラスはこのレベルなのか、と圧倒された。
もちろん、みなは従業員なので仕事の不満もあるらしい。その不満は人間味があって、現実らしく、美術品に気圧され宙空に浮かびあがっていた意識を、しっかり地に降ろしてくれた。
ドキュメンタリだけど、監督とか評論家とかの解説はなく、ただ仕事をする姿が映されていく。自分の感性のままに観られて、実に面白かった。

映画にブリューゲルのバベルの塔(大)が出てきたが、今年日本に小バベルの塔がくるので、観に行きたくなった。

ススギ