劇場公開日 2016年7月30日

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「【”登ったら、降りないと。”実在の登山家オム・ホンギル氏が引退後、自らが高所登山に引き込んだ男達がエベレストで遭難した報を聞き、遺体回収に向かうムネアツドラマ。】」ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”登ったら、降りないと。”実在の登山家オム・ホンギル氏が引退後、自らが高所登山に引き込んだ男達がエベレストで遭難した報を聞き、遺体回収に向かうムネアツドラマ。】

2025年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■登山家のオム・ホンギル(ファン・ジョンミン)は引退後、ヒマラヤ4座を共に登頂した最愛の後輩ムテク(チョンウ)ら三人がエベレストからの下山中に遭難死したことを知る。そこはデス・ゾーンと呼ばれる、地上8,750mの地。
 誰もが遺体収容を諦めるなか、ホンギルはかつての仲間たちと「ヒューマン遠征隊」を結成する。

◆感想

・申し訳ない話しだが、この実話を私は知らなかった。だが、本作を見て山で生死を共にした仲間というモノは、生きて居れば生涯の友になる事を思い出した。

・それにしても、超高所登山の映画を観るたびに思うのは、どのように撮影をしたのかという事である。
 今作でも、流石に8000Mではないと思うが、表層雪崩のシーンやアイゼン、ピッケル、ダブルアックスを使って氷上を上るシーンは、可なり高度がないと難しいと思ったのである。

・登山に嵌った人間が、登山を辞めるきっかけは3つあると言われている。
 一つは、就職をした時。
 二つ目は、結婚をした時。
 三つめは、子供が生まれた時である。
 ムテクは、スヨンと結婚しても高所登山を続けた結果、遭難ししてしまい、葬儀でも遺体がないと母が、オム・ホンギルに泣きつくのである。

・今作を観て思うのは、矢張り優れたる登山家は、撤退するタイミングを高所、大所で見極める力量があるかないかなのだなと思うのである。

■今作のオム・ホンギル氏を見て思い出したのが、且つて東京農大にこの人アリと言われた谷川太郎氏の事である。
 氏は、農大在籍時、当時の大学山岳会の精鋭を集めたパーティでK2登山を極地法で行った際の登頂隊長であったと記憶する。
 そのメンバーの中には、今ではサバイバル登山家として有名な服部文祥氏もおり(当時は村田文祥)氏の著作(全て読んでいる。大変面白いので、興味のある方はどうぞ。)で知ったのだが、高所・大所で物事を判断する方だそうである。
 そして、その登山の2年後に、氏はK2登山のメンバー数名と、今作でも出るカンチャンジェンガに登頂するのだが、2名が下山中に遭難死してしまうのである。
 だが、氏は当時は行方不明とされていた二人を探しに単独で高所を24H以上探査するのである。当時の記録が「岳人」に残されているが、正に超人である。アップダウンを含めてトンデモナイ距離を歩いているのである。隊長という責務を果たすためとはいえ、信じがたい責任感である。今作のオム・ホンギル氏に、通じる所があると思い記載しました。

<登山映画というと、今作も若干その気があるが、実際にはドロドロとしたものになる事が多い事も敢えて記載する。
 極地法登山で良くあるのは、誰が一番隊で、誰が二番隊になるのかでもめる事が儘あると言事である。皆、会社や家庭を犠牲にして来ているので、誰もが登頂したい思いが当然あり、歴然とした力量差がに場合に、大きなしこりになるケースがある事は、知っておいてもらいたいと思い記載しました。>

NOBU
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