劇場公開日 2016年8月6日

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「これじゃただの安物のポルノ。ロマンもいやらしさも切なさもありゃしない。」花芯 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0これじゃただの安物のポルノ。ロマンもいやらしさも切なさもありゃしない。

2016年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

越智が園子に言う「きみという女は、からだじゅうのフォックが外れている感じだ。」とは、だらしがない女だ、としか聞こえてこなかった。そのままの園子は、愛を感じないとか、愛情とセックスは別物だとか、まあ素直と言えば聞こえがいいが、何様だよ!という印象。
これが、まだ小説の中では多少の理解はできた。
女癖のひどい父と、恨みの心を隠す母と、早熟の妹という家庭環境で育ち、最後は娼婦に身をやつす身の上を知れば、だ。それでも自分が不幸だとも思わず、まともな愛さえも欲しがらないのが園子なのだ。
それがこの映画はその背景が欠けている。小説の最後に出てくる裕福な初老が「痛々しい」と嘆く姿こそが、園子なのだ。
まあ、『海を感じる時』の監督だと知った時から、期待はしていなかったが、案の定の出来栄えだった。
こんなんで、原作未読の客は、話のスジが読めたのだろうか?
それだとしても主人公はミスキャストだった。(他は適役ぞろいだったのに)
濡れ場も一本調子。はだけりゃいいってもんじゃない。
京都駅に向かうのに、草繁る川の土手なんてないし。
最期はやはり、初老が出てこないと意味がないのだよ。

栗太郎