「魔法が解けてもいい。それが大人への階段」クリミナル・タウン つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
魔法が解けてもいい。それが大人への階段
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やはり一番大事なことを最初に書かないわけにはいかない。
予告編から受ける印象や、パッケージの煽りに使われている「優等生の友人はなぜ殺された?卒業の前に僕らは謎を解く。最旬キャストで贈るスタイリッシュ・クライム・サスペンス!」は、全くのデタラメなので要注意。
それではどんな作品なのかというと、母の死にふさぎ込むほど子どもでもなく、乗り越えられるほど大人でもない若者の、卒業をキーワードにした青春映画なのだ。
主人公アディソンの、悩みとも言えないくらいのモヤモヤ、喪失感、無力感、そういったものが彼を突き動かす。
意味なんてないかもしれない、うまくいかないかもしれない、それでも真実に近付けば今の心のしこりを洗い流せる、そんな気持ちでいると思う。
友人の死の真相、幼なじみフィービーとの関係、今まで知らなかった世界のドアを次々に開けて、視野を広げていく。
狭い世界の狭い価値観しかなかった子どもが大人に変わっていくステップ。
ちょっとネタバレかもしれないけど、序盤の真っ白なシーツに包まれた幻想的とも言えるほどのセックスシーンと、中盤の人混みの向こうで寄り添う二人の場面は凄く良かったね。
力を入れている場面がクライムと全く関係ないことからも青春映画として全力だったと見てとれる。
原作はノワール小説らしいから、その面白さが失われているのは間違いないだろうけど、私は映画ファンなので映画が面白ければそれで構わない。
もちろんクライムサスペンスとしてではなく、青春映画としてね。
あと、主演のアンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツは、なんか顔が似てると思った。兄妹みたいな。
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