「この甘やかしぶりは共感出来ない。」マダム・フローレンス! 夢見るふたり 巫女雷男さんの映画レビュー(感想・評価)
この甘やかしぶりは共感出来ない。
自ら作った「ヴェルディ・クラブ」なる会にて逆らう事が無い富裕層の知り合いだけを集め、1人演劇を観せて(一応金持ちだけど)生計を立てていたフローレンス。いつしか大きいホールにてリサイタルコンサートをしたいと言い出す。
だが、今迄公の場に出ない理由は彼女が音痴であり、、、だけど夫のシンクレアは何とかしたい。
さぁ、どうなるか?というストーリー。
実在した音痴歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの話を映画化した作品。レコードとして音声が残っているのにはビックリした。
梅毒の持病にてフローレンスが大変なのは分かる。
カーネギー・ホールを満員にするまでのリサイタルを実行させたのは凄いと思う。
しかし、やっているのは殆ど金によるもの。
メリル・ストリープは名女優かも知れないが、この作品では良いと思える所が1つも無い。あるとすれば「よく音痴を頑張った」である。フローレンスの甘えっぷりが鼻に付く。
ヒュー・グランドもひと昔前まではラブロマンス映画の代名詞みたいな感じだったが、ヒュー・グランド目当てで映画なんて観たこと無い私にとってはごく普通演技。
頑張っている感も無い。
フローレンスがリサイタル成功を自分の成果では無く、偽の産物だと分かるのはホント終盤。
だから何だったの?的終わり方。
ハリウッドって実在した人物の映画化をかなりするが、「ある事を成し遂げた」人物のその「過程」に興味があり観客は映画館に足を運ぶのに対して、この興味深い過程が無いこの映画は「何を語りたかったの?伝えたかったの?」を思わせる。
これをハートフル・コメディと言う人がいるが、ハートもフルでは無いし、コメディでも笑えもしない。(人の短所を笑うなんて私には出来ない。)
この偉人なんだか、変人なんだか解らない過去女性のひと時話を映画化しようとした魂胆がわからないし、金による甘やかしなんて観たくなかった。
星評価は映画に対する評価では無く、今でも存在するレコードへの評価とさせて頂く。