シング・ストリート 未来へのうたのレビュー・感想・評価
全45件中、21~40件目を表示
はかない作品
80年代ロックが題材のイギリス映画となると、概ねグラスゴーやマンチェスターといったインディシーンを想像するものですが、これはニューロマンティックやメロディアスハードといったMTV黎明期のメインストリームなので往年の音楽ヲタは一回りして楽しめます。
(単館でみたので余計に驚きました)
最後のシーンが陳腐であるとのレビューもありますが、あれは妄想・願望エンドでしょう。カットを追えばわかります、彼女は来なかったのでは。
はかなさが素晴らしい映画なのです。
良い
あのエンドロールで星0.5追加しました。
終わり方好きだな。あのおそらくレコーディングしてるところの音声。あの船のままで終わってたら私は安心して映画館出れませんでした。きっと幸せな方に向かうんだろうなとは思えるけれど、やっぱりそこを放り出されてしまうよりちゃんと描いてもらえたほうがホッとする。船で遭難しちゃうかもとか心配してたので…。かといってその後をがっつり描くのも違いますしね。
お兄さん役は最高でしたね。全体を通して笑いどころも多々あった。
この手の映画にしても一人一人丁寧に描かれていたと思います。例えば、両親の不和や離婚が子供たちへもたらした影響などの子供目線の悲劇だけでなく、両親の心中が測れるようなシーンがいくつもあったこと。夢を諦めた母が日課として夕陽に当っている。離婚が決まった後の父のあの憔悴しきった顔。他にもちょっとした台詞やカットで人間像が垣間見れた。
良作。爽やか。
キューンとする
上映時間が空き時間に合ったのでたまたま見たので余計にかもしれないけど、意外なほどよかったです。
バンド結成と曲作りが上手いこと行きすぎだろ感はありましたが、そこを描きたい訳じゃないと思うので気にしない。
主人公のぼっちゃんとそこからの少しの変化。
彼女への恋。彼女の気持ちの動きと行動、顔が最高。
この女優さん、なんか老け顔?と思う時と、やっぱりめっちゃ綺麗!と両方あります。なぜ。でもすごく魅力的。
そしてお兄ちゃん大好きだね。カッコよくあって欲しいんだね。でも玄関で外出してるとか、お兄ちゃん頑張ってよ。
学園祭のPVでのバイク乗ってるお兄ちゃんとか、仲良く来た両親とか、あれがコナーのほんとの願いだと思うので辛いけど、ラストは希望があるものだった。
現実は厳しいけど頑張れって感じです。
もちろん何より音楽がいい!音楽シーンだけでもなんか大満足!
監督の自伝映画
「はじまりのうた」の監督も務めたジョン・カーニーの自伝映画。最高でした。
正直自分の中ではじまりのうたはMaroon5のアダム・レヴィーンが歌うLost Starsしか印象に残らなかったんやけど、今回のこのシングストリートは、どの曲もキャッチーで聴き返したくなる曲ばかりでした。
うちが惚れたのはやっぱり主人公を演じたフェルディア君。半年をかけたオーディションの末残ったフィンランド出身の14歳。演技初挑戦にして良い味出してました。そして凄く青年顔しているのに意外と身長が高くてびっくりしました。
ストーリーも最高。舞台は1985年の大不況のダブリン。個人的に、若いやつがもがきながら夢を追いかけたり悩んだり恋をしたりする青春映画が大の好物だから本当にこれはどストライクでした。
曲を友達の家に行って作っていくシーンとか、夜中にお兄ちゃんに借りたレコード数枚片手に自転車で友達の家に行って聴きまくったり、そういうのがもう何でもないのに最高でした。最高しか言ってない。
言葉下手すぎるけど、この良さをみんなに知ってほしいと思った。(高校2年/女子)
よかった
同時代感があり音楽もとても楽しかったのだが、思ったほどわくわくしなかった。主人公は周りに恵まれすぎているからかもしれない。特にキーボードの男はどんどん背中を押してくれて、あんな友達いたら本当にいいなあと思った。
いじめっこのあいつも仲間になっていたが、主人公が小憎らしかったので最後まで苛め抜いてほしかった。
急にあんなメイクして学校にきたら校長でなくとも洗面所で顔をつっこんでやりたくなる。
演奏を本当にしている感じがよかったし、オリジナル曲もすごくよかった。
音楽がくれるちから
とにかく音楽が素晴らしい。
観てだいぶ経つのではっきりと書けないけれど、悲しさが喜びってなに?
というような事を繰り返すところがセリフで一番心に響いた。
青春もので、音楽、バンド。
そして旅立ち。
書いていて恥ずかしくなるくらいベタなのだけれど、心は確実に踊りました。
帰りにサントラ買っちゃうで賞
正直フライヤーを見た時点で「良い映画だろうな」と思った。
映画を観て「めっちゃいい映画だった」と思った。
時代は1985年。私の生まれた年。この時点でテンションが上がる。
映像のトーンは、絶対的に映画館で観たほうがいいトーン。
若さ故の勢いは、10代だから出来ると思うほど。
若気の至りは沢山あるけど、こういうTHE青春の勢いは自分は経験しなかったなぁと憧れの感情を抱く。
レコードを大量に持ってるお兄ちゃん。
ああいうお兄ちゃん、とても憧れる。
「イケてない学生生活を送った」と一瞬でも思った人は、誰かに共感できる映画。
取りあえず観た後に「バンドやりたいな」と一瞬でも思う映画。
いつも思う。
イケてる男のバンドよりも冴えない男のバンドは何でこうも惹きつけるのか。
劇中でSing Streetが披露する曲はどれもとてもよくて、サントラ買いました、はい。
昇華
やり切れない現実を大好きな「音楽」で昇華させるコナーに胸が熱くなりました。
コナー、どんどん顔つきがカッコよくなる。
ダブリンを抜け出し、荒々しい海を越えてイギリスを目指すこととは、過去から未来を作りだして行く「人生」そのものです。
飛び出した後を心配するより、飛び出す事が大事なんだ。大波なんて、越えればいいだけのこと。
「今でなければいつ行く?」
「今でなければいつ成長する?」
「探さないで何が分かる?」
彼らの挑戦を応援する名曲の数々。「(人の事を)ヤジるなんてダサいよ」というコナーの言葉。
それは、監督から全ての人への「やってみなよ」という「GO NOW」。
青春の青臭さと甘酸っぱさを封じ込めた音楽映画
「ONCE ダブリンの街角で」が日本で公開されて以降、ジョン・カーニーの作品が大好きだ。とにかく、ジョン・カーニーの「音楽に対する愛情」が作品からひしひしと感じられるからだ。「はじまりのうた」でもそうだった。ジョン・カーニーの映画の中で「音楽」には、高価な機材も必要ないし、高度な技術も要さない。ただ音楽への愛情と、表現したい想いさえあれば、それは既に音楽であり、風の音も空気の音も時間も空間も瞬間も、すべてが音楽だと投げかけるかのようで、それが実に心地いい。
そして今回、再び舞台をダブリンに戻した「シング・ストリート」では、音楽の要素としてなんとMVを取り上げているではないか。これは個人的に意外なことだった。商業的な気配の漂うMVのことをカーニーは寧ろ厭らしく思っているのではないか?なんて邪推していたからだ。しかしカーニーはそんな無粋な男ではなかった。音楽を表現する手段として(売るためではない)のMVを評価し、それを自らの手で作ろうとする姿の中にも音楽を見つけていた。立派なスタジオも大げさなカメラも必要ない。街角と家庭用ビデオがあれば列記としたMVだとカーニーは言う。そしてそのMV製作を通じて、年上のお姉さんへの初恋が紡がれる。それがまた、青くて若くてまっすぐでいじらしい。恋が少年を男へと変えていく様が良く描けている。
そしてまた、やっぱりこの作品の音楽が最高にイイ!「ONCE ダブリンの街角で」も「はじまりのうた」もサウンドトラックが最高に素晴らしかったが、今回もやっぱりサウンドトラックを手に入れたくなってしまう。80年代のブリティッシュロックに影響を受けたダブリンの少年の若さと青さと不器用さと躍動感のすべてを表現したような楽曲が秀逸で、聴くと一瞬で青春のスイッチを押されてしまう。音楽を通じて、バンドを通じて、初恋を通じて、少年が逞しく男らしく成長していくだなんて、ありきたりだけど普遍的なテーマを、素晴らしい楽曲が見事に彩っていく。あぁ、ジョン・カーニーの音楽に対する無償の愛はまったく変わっていなかった。
実はこの映画は兄弟愛の物語でもある。少年が音楽において最も多大な影響を与えたのは、著名なロックバンドではなく「お兄ちゃん」の存在だ。兄が聴いていた音楽、兄が語っていた音楽論、兄がやっていた楽器・・・兄の背中を見て弟である少年は成長してきた。終盤、そんな「お兄ちゃん」の本音を少年は初めて耳にする。そしてそれは、少年がもう「お兄ちゃん」の後ろを追いかける「弟」ではなくなることを意味していた。エンディングでの兄弟二人は、兄弟としてではなく男同士として向き合っているように見える。あぁ、それもまた青春の通過儀礼だ、と思い返す。
共感を呼ぶ凡庸さと、感動を呼ぶ演技と演出
半自伝的映画だからこそ、ありきたりでシンプルな構成にもなるのだろう。貧困層のイケてない**野郎が、一目惚れした年上の美人に気に入られようとする過程に音楽があり、音楽を通じて友と出会い、音楽を通じて自分を築き上げていく。
こんな凡庸な物語をを特別たらしめたのが役者と演出なのだった。主人公達のMV撮影を含むギグには、プロムの妄想(孤独)と、校長への反逆の歌(結束)という2つのターニングポイントが設定されている。役者はこの2つのターニングポイントを見事に演じ分け、演出はここを基点に観る者の共感を呼ぶように物語を収束させていく。
印象的なのは終盤、主人公を置き去りに(予告も匂わせもしているからフェア)して、彼氏とロンドンに行くも即座に挫折して帰ってきた想い人との会話のシーン。
他人任せに都会へ出て打ちひしがれ、自暴自棄な台詞を並べ立てる想い人に主人公は言う。
「これからリハがあるんだ」
既に自らの意志で成功へと向かい始めていた、年下の少年が憧れた年上の想い人に追い付き、追い越し、「キミはどうする?」と問いかけた瞬間だ。いつしか彼は彼女を励ます存在になったのだ。
ラストは、想い人以上に思慕し、自分の拠り所としていた兄からの旅立ち。
己が切り開いた道を通ってきた弟が、己を越えていこうとする夢破れた兄の、弟を見送る雄叫びは、この映画のもうひとつのハイライトだ。
かなしみとよろこびのハーモニー。
80年代のアイルランドを舞台にした、青春音楽映画です。切なくて悲しくて幸せな物語でした。まさにハッピーサッド。
「ONCEダブリンの街角で」は、まだ見られていないものの、「はじまりのうた」が大好きだったので、楽しみにしていました。
なんですが、本作公開前にジョンカーニー監督が「はじまりのうた」に主演したキーラナイトレイをディスったという記事を読んで、ちょっとしょんぼりしたりもしました(後に監督は発言を訂正、ならゆうなって)。役者の仕事ぶりは映画からは分かりませんがね、そんなのは、言うんだったら本人にのみのすべきであって、世界に発信することでは絶対ないよねと、残念に思いました。
ま、映画の話をしましょう。
アイルランドには、ちょっとだけシンパシーがあります。全然ゆかりのない遠い遠い世界ですが、悲しい歴史がこれでもかと詰まった所なので、悲しみに対峙する人の姿を見たくて、幾つかの映画や物語で意識的に触れてきました。
それでも所詮遠い遠い世界なので、知らないことばかりなわけです。
今回それを実感したのは、1980年代にあってなお、離婚が法的に認められていなかったことです。
マジか、と思いました。今(2016年)でも4年くらいは別居しないとダメだとか。前にイタリアの離婚事情を知ったとき(こちらは三年別居しないと離婚できない)も衝撃でした。それって幸せになろうとする人を苦しめるだけではないのかい?なんて思いました。カトリックに限らず宗教上の決まりごとが足かせになっていいのだろうか。モヤモヤします。
また話はそれてしまいましたが、宗教は何のためにあるのかということも、引き続き考えていきたいことのひとつです。
80年代のイギリス音楽に、81年日本生まれの私は、あまりぴんと来ません。デュランデュランとボブディランが最近までごっちゃになってました。なので、懐かしいあの頃!という盛り上がりは皆無です。かろうじてデヴィットボウイが分かったくらいです。でも、コナーとエイモン(この子が一番かっこいいと思った、あのメガネやめたら)の作るオリジナル曲が素敵と思えたので、音楽部分もおいていかれず楽しみました。あんなレベルの高いオリジナル曲が作れる10代ってのには、うそ臭さも感じなくもないですが。
特に兄の悲しみが沁みました。私も長子なので、弟妹を愛しく思う反面、自分が必死で切り開いた道を、あとからふらふらついてきただけの弟にあんなふうに言われたら(たいした内容でもないのに)、兄のようにかっとなると思います。両親が円満であれば、兄の子ども時代はそんなに苦しくなかったでしょう。兄の言葉を借りれば、「カトリック教徒のくせに、セックスしたいだけで愛し合っていないのに結婚した」両親の間で、家族を維持させようと苦心した兄の苦労はいかばかりか。語りつくせない共感があります。別に兄は常々その事を根に持っていたわけじゃないと思います。子どもの頃から頑張ってきたものが、限界に達して自暴自棄になっている今、その事を単純な堕落のように冗談でも弟に言われた事が悲しかったのだと思います。やだわ、ほんと兄悲しいね。分かるよ。
ラストに兄は、コナーとラフィーナを海へと送り届けて、やったあ!みたいに、喜びます。絶対喜んでいると思います。兄は、弟に言われなくても、自分を責めているので、今の自分をしっかり責めているので、ふがいない自分を追い越して、未来に向かってゆく弟のまぶしさに希望を見たのだと思います。
コナーの思春期の戦いも、家族がみんな一緒で幸せでいたいという願いも、切なく響きました。
50年代のアメリカのプロム風の空想ミュージカルシーンが特に、ノリノリのハッピーさと、決して手に入らない家族の幸せに悲しくなりました。
小舟でイギリスにわたるなんてどう考えても無謀ですが、それでも向こう見ずに飛び出す若さのきらめきを眩しく見つめました。
幸運を祈るラスト
転校先のワル悪高校でバンドを組んで、気になる女の子にアタックする。なんか、かわいいです。
お兄さんが、とってもいい。
でも、それ以外の家族は印象薄い。
バンドのメンバーやビデオカメラでMV撮影している所とか、中々イケてる。
まだ、この頃のアイルランドは離婚もできなかったらしいです。家族のその後が心配だけれど、主人公2人には幸せになってほしいな。
ロックは希望
女の子にモテたいとかも含め、音楽活動の素晴らしさと、それによって彼らを取り巻く世界が変わっていく状況を誠実に描いていて、グレートな青春映画だな、と感じました。
初めての音合わせとか、曲作りとか、初めてのライブの前の準備とか、音楽活動がもたらす高揚感が本当に丁寧に描かれていて、感動しすぎてちょっと泣けるレベル。
ロック=希望という真実を高らかに謳いあげている感動的な映画でした。
主人公・コナーと兄貴の兄弟愛も心に残ります。兄貴はコナーよりもロックを信仰しており、ロックの預言者です。ロックの本質を突いた助言はもはや神託。確かに、カバーなんかよりもオリジナルの方がいいよね!
その一方で、自分を諦めている兄貴の鬱屈も悲しみを誘います。マリファナ止めたり最後は詞を書いて渡英するコナーに渡すなど後半は復活の兆しが見えるので、弟に夢を託さずにいつかは自分の人生を取り戻してほしいなとしみじみ思う次第です。
オリジナル曲も良かったし、ヒロインも魅力あったし、ギタリストはコステロ似だし(狙ってるだろうね)、いろいろ楽しい映画でした。
日本との文化差を感じたのはマネージャーの存在。日本のアマチュアバンドには専属マネージャー文化はほとんどないと思われます。マネージャー大事だよね。コナーがバンドをスムーズに組めたのもマネージャーの尽力あってこそだし、敵対していたいじめっ子のスキンズを仲間に加えるとか、すごく力を発揮してる。イギリスではストーンズの昔からマネージャー文化があるので、アイルランドでもバンド+マネージャーという組み合わせは自然なのかな。
あと、バラードがライブで嫌われるところも文化差かな?ロマンティックだしチルアウトだし、女子の多いライブではバラードがいいスパイスになるのかなと認識してたので結構ビックリしました。
サントラも素晴らしかった!
Drive it like you stole itは超名曲です!
40代でも楽しめる青春映画
70'sの終盤も入っていると思うが、とにかく自分が10代で触れてきたブリティッシュの楽曲とアメリカのミュージカル、映画がネタとなってちりばめられていてニヤニヤさせられる。調べたらジョン・カーニーとは同い年ということなので納得するのと同時に、よくもまあこんなど真中ストレートの作品を作ったなとも思う。
映画界ではあの当時のヒット映画がリメイクだったりリブートされているし、音楽でもあの頃を思わせる曲は少なくない。今作にしても連綿と続いているよくあるパターンの作りだが配役含めセンスの良さで乗り切っている。
主演の二人は歌唱の経験はあるが演技はほぼ初めてのフェルディアくんと、声がとても印象的なルーシー。今後を期待させるものはあると思う。
個人的にはジャック・レイナーが役どころ含めて気に入ったので、そういう発見があったのも良かった。
ラフィーナが海に飛び込んで「半端じゃダメ」と言われたコナーはそこで恋に落ちる。この言葉はラフィーナが自分自身に言い聞かせてもいたわけだが、このシーンがラストにつながっているというのは良い。
あとエイモンの造形は完全にコリー・フェルドマンということで決定。
80's好きなら
ジョン・カーニー監督ということで気になっていた作品。
相変わらず音楽は安定。
時代背景が80年代ということで、映像もやや古い感じだが、当時のMVを覚えている人ならどこか懐かしく、青春が蘇るような感覚になれます。
同監督作品の『はじまりの歌』を求めてしまうと、若干拍子抜けかもしれません。
主人公以外のバンドメンバーが個性的だった分、彼らにも焦点を当ててほしかったな、というのが正直なところ。
それと、兄のギター演奏を待っていたのは私だけでしょうか。
ダブリンからもロンドンは見える!
ダブリンの日常に音楽が生み出すフィクション。素晴らしい映画だ。
父親の失業と離婚騒ぎから下町のカソリックの高校へ転校せざるを得なかった最悪のコナー少年。
しかし、転校はむしろ起死回生の転機。ドイツ行きを諦めた兄や音楽好きの友達に恵まれ、ドイツ行きを諦めた兄に支えられ恋するラフィナと共に海峡を渡る。
内面から溢れ出る自信
1980年代のアイルランドが舞台…とはいえ、経済の貧しさだとか、家族や学校の人間関係、恋愛など、悩みは現代とあまり変わらない気がした。
少年が、親や教師に振り回され、抑圧される環境の中で、仲間と一緒にバンドを組むことで、自分に自信が持てるようになる。そして、音楽やファッションを通じて、自己表現ができるようになる過程が、観ていて爽快だった。
少年の瞳が、最初のオドオドした様子から、強い瞳になっていく。人は、内面の自信によって、瞳の輝きがこんなにも変わるものなのだなと思った。
批判され、抑圧されても、自分のやりたいことに向かっていく自由な姿に、悲しみの中の喜びを感じた。
まっすぐな想いと主人公の成長
物語冒頭の幼さからシーンを重ねる毎に少しずつ成長していきカッコ良くなっていく主人公にハートを鷲掴みにされた。
ヒロインとの青春物語もさる事ながら、やはり兄弟の強い愛に感動する。
なにより歌がいい。
どの歌のシーンも強烈に印象を残してくれるので、サントラを聴いているだけで映画のワンシーンが目に浮かぶ。
監督が送りたかった人生を余す事なく映画の中に作り上げた感が伝わった。
後味のいい1本でした。
全45件中、21~40件目を表示