「アナログ時代への邂逅と共に兄弟の間柄に想う」シング・ストリート 未来へのうた 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
アナログ時代への邂逅と共に兄弟の間柄に想う
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ジョン・カーニー監督の作品は『はじまりのうた』のみ鑑賞済。
『はじまりのうた』がとても良かったのと、小島秀夫監督が作品とサントラをオススメしていたので興味が湧いて鑑賞。
『はじまりのうた』ではデジタルだからこそ出来る今のミュージシャンの生き方みたいな物を描いていたけれど今回は舞台が1980年代で、今見るとアナログな物の数々が(カセットテープ、ビデオカメラで撮影したミュージックヴィデオ、レコード板)荒い映像や本番前の声などが入った音声ではあるけれど、とても愛しく感じた。
学園内で底辺だった者達がバンドを組み、最後には学園祭(?)のステージで歌う…って言うサクセスストーリーは良くあるけど、この作品は主人公に焦点を当てていてそこがゴール(スタッフロール)じゃない、例え荒波が襲いかかってこようとラフィーナと共にロンドンへ行くことこそがゴールであり、未来のスタートなんだって言う様に感じられた。
中井圭さんがつぶやいていた、シングストリートに関するツイートを見た上で本編を観ると、兄は自分がなし得なかった夢を"未来へのうた"を歌う弟に託している様に感じられたし、最後の喜ぶ様はさも自分の夢が叶ったかの様で、これが兄貴の"悲しみの中の幸せ"なんだろうなと思った。
個人的には兄貴の「俺は独りで道を切り開いてきた!お前は俺の通った道を追ってきているだけだ!」って言葉が二人兄弟で兄がいる自分にとっても、言葉には出さずともそういう事を思っていたんだろうか…と兄のことを想い、少し切なくなった。
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