「つかめない」母の残像 ティム2さんの映画レビュー(感想・評価)
つかめない
見終わった後に何かハッキリとしたものがわからない。私の経験不足からだが、つかめない、ふわふわと何かを感じるがわからない。
戦場写真家で評価されている母。
車の事故で亡くなる。
写真のデータを整理する家族。
彼女は、世界を飛び回る人たちには帰る場所がない人が多いという。でも自分には家族がいると。帰る港がある的な話。
途中、空港で旦那さんに見送りに来てもらってて、新聞見ながら話しているシーンで、新聞に彼女の写真があり、旦那さんがすごいよ と。
でも、他の席の男性が新聞のその記事を読まずに飛ばしてるのを見るシーンがある。
仕事は評価され、家族も誇りに思ってくれてて協力的な旦那さんもいる。
でも、やりがいと誇りから家族との時間を犠牲にしてでもしていた仕事に、記事を読まなかった男性と同じように、そこまでの意義を感じなくなってるのかなと思った。そして今は前ほどの情熱がない。
最近の彼女は落ち込んでいたようだ。
彼女は家族に愛されてるのを知っていたし、自分も家族を愛していた。
家に帰ってきて役割がなく、存在意義を考えてしまい居場所に感じられないのかな。
平和な家族との日常に居場所がないような。
旦那さんと息子二人のショックを受けてる感じをみれば、家族にはとても重要な存在だった。役割がないと感じていても、彼女が感じている以上に彼女の存在は大きい。
ペットじゃないから、いるだけでいいよでは納得しなかったと思うけど、とても大きな存在だと実感できてたら…。家族を悲しませないようにこの場所で何か見つけて欲しかったと思った。
戦場の写真は以前はセンセーショナルなものを撮ってたが、戦場により傷ついた人々、爪痕を取るようになった。つまり戦場が通った後。
この映画もいなくなった後の話。
彼女がいなくなった後。
今この映画を彼女が見たら、残された家族が悲しんでいて傷ついてるのを見たら、ここにいる存在意義を感じられたと思う。
美化せずリアルなのかもしれないが、大人の関係が複数出てくる。母も父も長男も。
性的な快楽は一時的にストレスから解放されるのかもしれないけど、どの関係も現実だったら嫌なこと。
次男も好きな子との夜の散歩でショックが和らいでる。
見終わったあと、こういう映画って言えなくてわかってない気がする。