劇場公開日 2017年3月4日

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「ぼうは、ええ子じゃ。」しゃぼん玉 fukui42さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 ぼうは、ええ子じゃ。

2019年12月20日
iPhoneアプリから投稿

舞台の宮崎県・椎葉村。宮崎って海(日南海岸)のイメージでしたが。
日本三大秘境の一つなんですね(残りは岐阜・白川郷、徳島・租谷)。ほほう。
そんな豊かな自然の前では、人間は無力。
そして、自分の心の中を生まれた頃に戻してくれる。

偶然助けた老婆と出会ったことで、主人公の心が少しずつ戻っていく様。
「いい天気だなあ」って、自然と口にできる。
そこに罪人のダークさは薄れています。
だけど犯行時に雨が降っていたことから、雨の日は現場がフラッシュバックしたり。
自然が主人公に、「白状しろ」と言っているかのようです。

悩める主人公の林さんも良かったのですが。
やっぱり老婆役の市原悦子さんがもう、ぴったりすぎ。
セリフで「〜じゃった」って、日本昔ばなしワールド。
随所で主人公に言う言葉が、う〜ん胸にきます。
「ぼうは、ええ子じゃ」。
今の時代、そんなふうに言われることってない。
主人公の箸の持ち方を注意したり、本当のおばあちゃんみたい。

あとシゲ爺役の綿引勝彦さん、渋かったです。
強引に山仕事を手伝わせたり。
きっと主人公は今まで、頼りにする人もなく、頼ってくれる人もいなかった。
そんな孤独が犯行に及んだのでは?と思ったりもして。

市原さんの遺作だからってわけじゃないんですが。
最後の場面、主人公にかけた言葉に。もう涙腺崩壊。人の温かさはありがたいな。

良作でした。

ゆき@おうちの中の人
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