「大切にしたい人には嘘をついてはいけない」しゃぼん玉 パセリさんの映画レビュー(感想・評価)
大切にしたい人には嘘をついてはいけない
女性、老人などをターゲットに通り魔をして生きていた若者が、ひょんなことから田舎の老人を救い、そこに居候してそこの人々との交流を通して更正していく姿を描いた作品。
とても感動的なお話ですが、決して重くなく、特に序盤はコミカルなシーンも多く、人間らしい愛らしい人々の姿に心温まります。人間らしいとは何かわからないけど、食べて働いて周りの人と話してってだけで、ちゃんと充足感を感じられるもんだなと改めて思いました。
全体としては田舎ファンタジーですが、すぐに噂が広まったり実は陰湿さもあったりと山間の集落から出た世界には現実感もあり良かったです。最後の終わり方もエピローグがあるけど描き切らず、ちょうど良かったです。美知との関係性についてはちょっと中途半場だった気がします、、、彼が通り魔をしていたと聞いて同じ被害にあった彼女がどう思うか、どう反応するか、これが解決しないとあの村では生きられない気もするので。
気づいた時に直せばそれでいいとか、大切にしたい人には嘘はついてはいけないとか、逃げるばかりではダメお前はやればできるとか、婆ちゃんとしげじいから言葉がグサグサ刺さる反面、勇気をもらえました。なんというか本質をえぐらずさわさわしてる感じが優しい。
市川悦子さんが本当に現地の人のように見えるほどかわいらしく、ポジティブで真っ直ぐなスマお婆ちゃん役、見事でした。最後の翔人を見送るシーンの寂しい表情、名シーンだと思います。林遣都くんも段々と心を開く翔人役良かったです。綿引さんも田舎の強くて頑固なしげじい、でもちゃんと深い優しさを感じられる、いい役どころでした。
予告編見ただけでも泣いてしまうぐらい心を動かされて記憶に残る作品でした。素晴らしい景色とおいしそうな料理の数々も魅力です。