彼らが本気で編むときは、のレビュー・感想・評価
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冒頭の会話のない母娘のシーンで息を呑み、生田斗真が最初に出てくる場...
冒頭の会話のない母娘のシーンで息を呑み、生田斗真が最初に出てくる場面で「うれしくて料理を作りすぎちゃった」と言ったあと、彩りゆたかな食卓が映るところで涙が出てきました。美味しそうな食事が出る家庭は健やか。トモとマキオとリンコの疑似家族に胸を打たれました。トランスジェンダーものの作品は「さまざまな家族の形」について考えさせられます。
女の子の目を通すと、世界は透明になる
最後のシーンが監督ならではの潔い美しさを醸し出していて好きです。
観ている間ずっと思っていました。
家族って楽しいな、と。
トランスジェンダーではなくとも、家族にはどこか脆いところがある。
それをどうやって守っていくのか、キャラクターに味が出ていて面白かったです。
タイトルの編む。
ストーリー、登場人物、映画全体に大きく関わっており、きちんと戦略的に練られた映画だと思いました。
受け入れるということ
トランスジェンダ―の友人がいる。
出逢った当初、男女どちらでもいそうな名前だし、スポーティな女の子なのかソッチなのか分からなかった。
普通に会話はしていたもののドッチか分からなかった。周りもそうだった。
そして他の人からソッチと聞く。
本人は慣れているのか「何でも聞いてくれ!」と明るかった。
そこからより一層打ち解けた。
トランスジェンダーが徐々に浸透しつつある。
ただ偏見はなくならない。
トランスジェンダーに限らず偏見はなくならない。
マキオがトモに姉の事を「姉ちゃんはそういう人なんだよ。」とバッサリ斬っているようで受け入れているセリフがとても印象的だった。
劇中でリンコの中学時代がある。
田中美佐子演じるリンコの母の「自分の子供への愛」がとても胸アツだった。
息子の異変に気付き、きっと葛藤はあっただろうが全てを受け入れ、一人の人間として丁寧に接する。
こんな親子で溢れていたらどんなに幸せなんだろう。
きっとこれからトランスジェンダーについて学校教育でも教えがあるだろう。
いくら子供に教育しても、親が偏見に満ち溢れていればなかなか偏見はなくならないだろう。
きっとどんなにいい世の中になっても、情報が浸透しても、偏見はなくならないだろう。
理解するのが難しい人もいるだろう。
だから、受け入れるだけでもいい。そういう人もいるんだなと受け入れよう。
そんなメッセージを受け取った気がした。
ザックリしか知らなかった設定で観たので、編む理由を知って「そういうことなのかぁ」としっくり。
涙涙でしたが、ただ涙が流れるだけではなく、笑いどころが散りばめられていたり、変にオブラートに包むことがなく、リアルだった。
ラストが納得いかない!!
って、映画終わってから、ずっと考えていた。
だって、ネグレクトを繰り返す人間が、自身の母親に対して歩み寄ったぐらいで、そう簡単には変われないよ!!
トモはリンコと暮らした方が絶対いいよ!!
って思ったんだもん。
トモの母親だって、それが分かってるから、トモを手放そうとしたんじゃん!
って思ったんだけど。
トモが、あそこで、母親の手を取ったのは、リンコとの関係が出来てたから。
かもしれない。
リンコを信頼して、リンコとの絆が結べたから、トモは、ヒロミと暮らそうって思ったんじゃないかな?
あの、可哀想なヒロミと一緒にいてあげたい。って思ったんじゃないかな?
だって、トモは「どうしてお母さんはしてくれないの!?」って言えたもん。
アレは、ヒロミとトモの二人きりの時は言えなかった言葉だよね。
あの言葉を言う勇気をくれたのは、リンコとの関係だよね。
自分を愛してくれた大人がいた事がトモに勇気を与えたんだと思う。
トモがタオルを手放せたのは、リンコがいたからだ。
リンコはユーモアも持ってる、素敵な女性だ。あの発想センスは母親譲りなんじゃないかな?
ラスト、リンコからトモに送ったもの。母親から、娘への贈り物だ。
可愛くて、思わず笑ってしまって、思い出が詰まってる。
最高のラストだった。
今はそう思う。
だって、トモとリンコは間違いなく母と娘になってたもん。
その関係が、絆が、消えることはきっとない。トモの中に残り続ける。
そう信じさせてくれる。
そうゆう映像だった。
帰る場所はどこでもいいのかも
登場人物それぞれをあまり深く掘り下げず、感情的になりすぎることもなく、静かに見守るような視点で描かれた映画だった。
トモの口調が良かった。「あぁ…はぁ。」って相槌になぜかグッと来た。
子役の子、演技上手いし可愛くて何年か後が楽しみ。
上白石萌音ちゃんみたいになりそう
リンコは内面がよく出来すぎてるんじゃないかってくらい笑
今まで想像もつかないくらい色々な体験をして、ああいった人間になったんだろうんなーと思うけど、そういう部分をあまり描かないのがまた良いのかな。
生田斗真が美形ですごく綺麗なんだけど、反面結構ガタイがいいのでちょっと無理してる感があって逆にそれがリアルだった。
今時珍しいくらいの女性らしい仕草と、ちょいダサめの服装も。
家族って不思議なものだなーって最後は思う。
客観的に見たら、トモはマキオとリンコと一緒に暮らした方が幸せになれそうなもんだけど、そういう問題でもないんだろうな。
どんな人でも親は親で子は子で、理屈じゃないもので結ばれているんだろうなと。
まあ離れたほうがいい例もあるけど、この映画の最後では親子で一緒に成長していけそうな未来が見えたので良かったな。
ちょっと気になるのが幼馴染のカイ君親子。
リンコの母親が自分の子供の性を受け入れて真っ直ぐに向き合うのに対し、「普通」の価値観に囚われ子供に押し付ける母親。
カイ君は自殺未遂するまでに追い詰められちゃったわけだけど、その後あの親子がどうなったのか…
「あんたのお母さんは間違ってる」ってきっぱり言い切るトモはすごくかっこよかったけど、その心があの母親にも伝わってくれるといいんだけど。
今気づいたけど、父親ってのが全然出てこなかったな。
トランスジェンダーがどうのこうのっていう前に、母親と子供の色々な姿を映した映画なのかもしれない。
親子といっても人間対人間なんだよね、本当…
私自身が母子家庭の娘なので、より近い距離に感じることができた。
映画の中の人達の幸せを祈ると共に、私も幸せになりたいなーなんて考えちゃう夜でした。
毛糸で編まれた108本のダンコン、すごく可愛いんだけどなんだか微妙な気持ちになる笑
良くできた映画だがステレオタイプすぎる
母が突然家を出ていった少女トモは、叔父のマキオの家に身を寄せる。そこで、彼の恋人である性転換手術を受けた女性リンコと出会い、同居生活を送ることになる。最初は元男性のリンコに戸惑うトモだったが、母の愛情に飢えていたトモをリンコは我が子のように可愛がり、叔父マキオと共に家族のようになっていく。だが戸籍が男性のままで理不尽を受ける事やトモの母になりたい気持ちから、リンコは108つの男根の編み物を終えたら、戸籍を女性に変えると決意する。
観る前生田斗真の某コメント読んで色々不安だったけれど、映画としては良くできた映画だった。母の愛情を知らないトモにリンコが惜しみ無い愛情を与え、絆が深くなっていけばいくほど、周りの普通の人々からは異様な関係だと理不尽な迫害を受ける。その理不尽さを乗り越えるために、リンコは編み物を編み続ける…。
生田斗真のリンコは観ているうちに女性にしか見えなくなった。というか女性らしすぎるぐらいで、大変失礼ながら「普通の女性よりも圧倒的に女性らしく」て、そっちの意味で自分は違和感を感じた。けどトランスジェンダー女性の女らしくあろうとする振舞いを、生まれつきのシスジェンダー女である自分が、女性らしすぎると言うのも何だか傲慢だし、暴力的だと思う。しかし、それでもトランスジェンダー女性の描き方はステレオタイプすぎるような気がした。
リンコはトランス女性で、マキオとの関係も異性愛者の恋人のそれだった。トモの同級生のゲイの男の子や、トランスジェンダーへの偏見を描いてはいるけれども、この映画はセクマイの関係というよりは、血の繋がらないリンコとトモが家族になる過程がテーマの映画なのだ。なのでLGBTQ的なものを期待して観に行くと、客は多分違うと感じると思う。むしろリンコの母性愛に対する賛美や、理不尽さに立ち向かうのではなく、編むという行為を通して自分の中で堪え忍ぶことを推奨しているので、マッドマックスFR等が好きな人とかにはなかなか相性が悪い映画だと思う。マキオがリンコに惚れた理由が、母親に対する献身さというのも、女性が追わされているケア性や、そういった社会のイメージを賛美しているようにも見え、自分は違和感を感じた。
つまり、LGBTQを登場させてはいるけれど、多様性があまり感じられない点が気になった。一見してトランスジェンダーと分かる女性や、サッカーではなくバイオリンを弾くゲイ少年。家族の形や、母性愛や、女性らしさ…色んな点がステレオタイプすぎると感じた。
温かさとたくさんの問いかけ。
「普通」とは何か。今の世間においては一般的な形ではないのかもしれないけど、トモとリンコさんとマキオの関係は温かく、そこには刹那的だけれど確かな幸せがあった。
形容しがたい、でも好意によって繋がった温かい関係を見せてくれた作品。
リンコさんとトモの関係が良かった。母娘に近いけどまた少し違う、女同士の関係。
トモがいなくなる前夜、布団の中で2人で強がって憎まれ口を叩き合うけど、その後寄り添って泣くシーンがすごく2人の関係を象徴してた気がする。
同じくトランスジェンダーの人物を描いた「リリーのすべて」を観たときも思ったけど、トランスジェンダーの方は、精神と肉体の不一致によって色んな形で自己を否定され続ける苦しみがあるんだろう。それに胸が苦しくなった(私は想像するしかないけれど)。
でも同時にこの作品を観て思ったけど、公共の場における周囲の対応は難しい。
リンコさんやマキオたちに感情移入するとやりきれないけど、病院での出来事(病室の割り振り)等はある意味では正しいと思う。
マキオもトモもリンコさんの人となりを良く分かってるから、リンコさんは中身は女の人だってことがわかるけど、他の人、断片的に接した人にはなかなかそうは映らない。すぐに理解してもらうのは難しい。
病室だと他の女の人もいるわけで、その人たちがどう思うかも考えちゃうと、トランスジェンダーの方の人権も守るべきだと思う一方で、判断規準が難しいのだ。デリケートゆえに難しい。。
私はまだ良い解決策がわからないけれど、少なくともリンコさんが生きやすい世の中になれば良い、そう思う。
トモが分かりやすく「素直な良い子」じゃない(言葉遣い悪いし、変に正義を振りかざさない)のが良かった。
リンコさんもお酒好きで変に女々しすぎず、マキオに対してもさらりと飾らない人なのが良かった。
生田斗真が「風貌は男性の名残を隠しきれない、でも所作は完全に普通の女の人」になっていたのが絶妙。
期待以上!
王様のブ◯ンチで紹介していて気になって観に行きました。
セクシャル・マイノリティを題材にした作品です。トランスジェンダーの女性を演じる生田斗真。かなり難しい役どころの筈だけど、良い感じだったと思います。
私の身近には、セクシャル・マイノリティの方はいない…いや、カミングアウトしていないだけで実際にはいる可能性はあり、認識してないだけかもしれません。
昨今、日本でも関心が高まってきているらしいですが、とても難しい問題だと思います。当事者だったらどうしたらいいか、どう関わったら良いのか。
一つ思ったのは、子どもって残酷だなーって。そういう気のある子に対して、平気でキモいとか変態という言葉を放つ。無邪気な悪意かな。
中には、自分が理解できないことを拒絶する人がいる。理解できないなら、別にそのままで良いのにね。
この作品を見終わった後の気持ちを見つめれば、この問題に対する貴方の考え方が見えてくるかも…?
強くオススメします!
まもり方
最初は少し戸惑いますが
スクリーンに溢れる愛情の滴が
心地いいです。
出演者は相手が壊れないように周囲の雑音を自分の範疇でブロックしてます。
リンコの母は、自分の娘の心を
守るために、小学生のトモに対して
リンコを傷付けたら許さないと
牽制し、
トモは理由を知った時にリンコが
悲しむと思って、同級生の母親が
吐いた言葉はかたくなにいわない。
マイノリティに焦点を合わせ
ながらも、説いているのは
人間としての品格かな。
題名が文の途中で終わっているのが
初め不明だったのですが、点のあとは
シーンを見て視聴者が考えることを
示唆しているのでしょうね。
ともあれ
おっぱいに対する深い思いが
伝わりました。最後のお別れの品が
あれとはほほえましい。
私はてっきり ち⚪ぽの編んだ物かな
と予想したんですが。はずれました。
泣いて笑って
ネグレクトの母親をもった子供が、生田斗真につくって貰った初めてのキャラ弁を喜ぶ姿や、コンビニのおにぎりを吐き出すシーン、寝るときはずっと手に持ってたタオルを手放して生田斗真に抱きついておっぱいを触るシーン
もう、あれもこれも全て
この子は本当に愛情を貰えず育ったんだと感じる所が多く、とにかく泣きました。
そして愛情を沢山注ぐ生田斗真ではなく、ダメな母を許して求める子供の真っ直ぐな気持ちにまた泣かされて…
もう顔面ぐちょぐちょです。
本当の母親には勝てなかった彼女(生田斗真)の最後の涙辛かったな…。
悲しいシーンもあったけど、それと同じように沢山面白いシーンもあったので、泣いて笑って泣いて…を常に繰り返す良い映画でした。
人それぞれの「編む」こと。
良い映画でした。
出てくる役者さんすべて「名演」では無いでしょうか?
いわば「悪役」である小池栄子も名演でしょう。あの人こそ、言ってしまえば「普通」の人の反応なんじゃないでしょうか?トモにスーパーに会った時の感じ、観てる我々は彼女に腹がたちますが、「息子の同級生」が家を出てああいう人と暮らしている、と知っていればむしろ彼女は「良い人」と言われてもいいと思います。が、良い人の善意が圧倒的に誰かを傷つけてしまうこともある、ということを残酷に描いてました。
とにかくひとつ言っておきたいのは、この映画に出てくる料理の、ことごとく美味しそうなこと!エンドロールを観てフードコーディネーターが飯島奈美さん(深夜食堂、南極料理人、、)!!やっぱり流石です。この人の料理は決して背伸びしてなく、例えば「普通の家庭でこんな料理作る??」と思わせることのない事です。普通の家庭料理で、それでいて少し手間がかかっていそうで、とても美味しそう。この作品のもう一人の主役は飯島奈美さんの料理でしょう。
そして、「編む」こと。僕自身は編み物を出来ませんが、誰にでも、彼らにとっての編み物のような、悔しい時、辛い時、やりきれない時に没頭するものがあるはずです。料理だったりジョギングだったり。
りんこさんもまきおも、トモもそれがあるか
ら救われたのだと思います。
そして、僕がこの映画を観ていてたびたび言いたくなったのは「ふっざけんなよ!」でした。
トモを捨てた勝手な母も、黒板にイタズラ書きする同級生も、息子の気持ち分からず「あの人たちは普通じゃないの」という小池栄子も、りんこさんを男性の6人部屋に押し込む病院も、みんな、ふっざけんなよ!と。
そんな時、彼らは「編む」のでしょう、人に洗剤をぶっかけるのではなくて。
※田中美佐子の「ラッキー!☆」がとってもキュートでしたね^_^
己をみつめさせられる
作品の主軸上、偏見や差別があることの上にあるテーマなだけに、人間のずるさ汚さ本質も描いているが、映像の空気感がとても美しく、全体的に「キモチの良い映画」であった。
生田斗真の演技がとてもよかった。特殊な演技ではあったろうが、とても自然で「リンコ」がそこにいた。
トモやマキオの3人の関係が構築されていく様は言うまでもなく。
小池栄子やミムラが本当に憎たらしかったのが素晴らしかった。
あの二人の役柄、関わりは重要。
自分はどちらかというとそちらに近い存在であると思う。
頭では差別したくないと思っていても、やはり現実にそこにあったら、彼らをまず否定してしまうだろう。
理解する受け入れることは簡単ではないだろう。
だからこそそこを描いてくれて、どんな思いをするのか、思い知らされた。観ていて憎たらしいむかつくわかるだけにむかつく。ああ私も洗剤ぶっかけられるなと。
最後に、ミムラ演じる母が嫌悪していた自分の母に会いに行き、また娘が戻ることを待ちながら、部屋を片付けていたことに救われた。
普通ってなんなのか。彼らのことも普通と思える世の中になるよう、この映画に出会えたことが、自分はもちろん観た人たちから変っていくことを願う。
(p_-)泣けた、共感した、だが、、、、
性同一性障害のリンコ、それを理解する恋人のマキオ、親のネグレクトでこのカップルと暮らすことになるトモ、三者がお互いを分かり合いながら支えあいながら暮らしていく物語。性同一障害は性転換を含め想像を絶する生きにくさがあるのだろう、が周りにそんな人がおらず、このような映画で実感があやふやな感じで知るしかありません。
この映画で共感し号泣したのですが、果たして現実で出会ってしまった場合、私は彼らに理解を示すことができるのであろうか?小池栄子が演じるナオミのように差別的に接してしまうんじゃないだろうかと不安になります。映画は美しすぎる。現実は、、、。
YouTubeでコテコテの禿げたオジさんが性同一性障害で悩んでいる映像を見た事があります。果たして映画と同じ共感と理解を持つ事ができるだろうか?ナオミが自分の子供に『あの一緒にいた人は異常なの』というシーンがあります。異常、異常とは?正常とは?
この区別が大切なんだろうか?どこで人を区切るの?
区切る事自体が間違えか?んっそれは綺麗事?わからん。
他人の個性を受け入れるということ
ようやくLGBTへの理解が進んできたとはいえ、やはり世間ではまだまだ異端扱い。『チョコレートドーナッツ』を思い出した。
リンコの心の清らかさを知ればその偏見はなくなるのだろうけど、そもそも、知る機会さえそうはないし、機会があっても毛嫌いしてしまうのが大方の人間の行動だろう。学校の先生しかり、少年の母親(小池)しかり。目の前にそれで苦しんでいる人間がいるのに、その苦しみの本質を知ろうとせずに世の常識(実は偏見)を押し付けている。残念ながら、こういう人種に何を言ってもただ何倍にもなって反撃されるのが常で、リンコはそれを学習しているから「編み物」という自己防衛策をみつけたのだ。
しかし、なんと温かい涙を誘う映画であろうか。辛いのだけども嬉しい感情にもなり、楽しそうなのだけども切なくて泣けてくる。だいたい、女の子が「ちんこ」を連発して言ってるのに、気持ちが温かくなるなんてね。
それに、映画のなかに織り込んでくるエピソードも深い。一例を挙げれば、トモとおばあちゃん(りりィ)が、それぞれ何気なく口ずさむ歌が同じ歌だった。つまりそこに、おばあちゃんから娘(ミムラ)、またトモへと、母から子への愛情の連鎖を感じるのだ。心の奥に愛情が根付いているからこそ、最後にトモは彼女を選ぶのだ。
トモ役の子役を筆頭に、役者がみな、人物の個性を引き出しているし、映画自体も余計なことをしない。結論を決めないことばかりで終わってしまうが、それがまた彼らの頑張りの続きを応援しているようにも思えるのが不思議だ。
是非ともこういう映画こそ、中学校あたりの学校行事で見せてやってほしい。そのとき、バカにする子供たちがいたっていい。これをきっかけに、人の痛みに気づく子が何人かでもいれば、いじめだって減るのだろう。
子役の演技が圧巻
トモを演じた子役(柿原りんか)の演技が圧巻でした。この子役の演技だけで胸が熱くなり涙が溢れました。物語としては、最終的に血のつながりには勝てないという結末。家庭を顧みないダメな母親への教訓でしょうか。ただ、下ネタセリフ連発は如何なものか?
2017-17
ほっこりの中の衝撃
ベルリン映画祭で見てきました。
荻上直子監督の作品らしく、美しい映像と穏やかな空気感に包まれた映画なのですが、それと同時に感情を大きく揺さぶられるようなとても強い衝撃を受けました。
子供の素直すぎる発言や普通でないものを受け入れない大人の思考、爆発しそうな悔しさとの葛藤。気持ちを理解してくれる人がいるという事の心強さや温かさ。親子のかたち。
心にぐっとくる要素がいくつも折り重なって、1つの映画になっていました。
真面目すぎると難しくなってしまうような内容も、可愛らしくコミカルな表現がされていて、本当に素敵な映画でした。
ちなみに会場では、キャラ弁のシーンで大きな歓声があがったり、洗剤をかけるシーンでは拍手喝采だったのが印象的でした。
深い愛情に包まれた映画
単にオネエが編み物をする話かと思っていたけれど、血の繋がりの無い3人が家族になろうとする話。
トモが本当に養女になってしまえば丸く収まるのに、トモにとって実の母親も大事な存在なわけで、トモの母親になりたいというリンコの望みは叶わないところが切なかった。
生田斗真さん演じるリンコが、始めこそ違和感があったけど、本当に強くて心優しい女性で、リンコに惚れるマキオの気持ちがよく理解できた。
リンコのことを「好きになってしまえば、男でも女でももうどっちでもいいんだ」みたいに言っていたマキオの言葉が印象的。リンコの母親も全てを受け入れていて頼もしかった。
トランスジェンダーの人に対する見方、恋愛観が少し変わった。
棒針編みをするシーンは凄く練習したようで上手だったと思う。
毛糸もカラフルで可愛かった。
新しい親子の形
上映時間が長いので、出来ればプレミアムシートで見ることをおすすめします。内容は笑いあり涙ありで飽きることなく鑑賞できました。
率直な感想としては、トモの親を演じたミムラさんの印象がものすごく強かった。「あぁ、こういう親いるよな。」としみじみ思った。
子供を産み、これから責任をもって育てていかなければいけない母親の立場で、欲が勝って自分のことを優先してしまう。女を捨てきれない母親がとてもリアルでした。
なので自分的にはミムラさん演じる母親の自分の子供の愛し方がわからず気が狂ってしまったシーンが見ものです。
生田さん演じるリンコさんが女性よりも女性らしく動きやセリフの一つ一つがとても美しかったです。何度見ても泣ける映画だと思ったし、ジェンダーレスという病気について誰もが関心を持てるしすんなりと内容が入ってくる作品だと思った。
アレを燃やすところと投げ合うところは爆笑してしまいました(笑)
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