彼らが本気で編むときは、のレビュー・感想・評価
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邦画娯楽作でLGBTにまっすぐ向き合う画期的な1本
トランスジェンダーものでは「リリーのすべて」、レズビアンやゲイに範疇を広げると「アデル」「ブロークバックマウンテン」等々、欧米では娯楽作でもLGBTのキャラクターを中心に描き、大きな賞も獲るなど高く評価される作品が珍しくなくなってきた。邦画界は決して誇れる状況ではないものの、本作は日本で生きづらいマイノリティーを温かな目線で描く意欲的かつ画期的な1本だ。
女装した生田斗真の第一印象は正直、美しいとか可憐とかではなく、無理しているような違和感。でも現実にトランスジェンダーの人に会ったらそう感じることもあるだろう。それが、人となりを知っていくうちに慣れていき親しみを覚えるわけで、本作もそのように作られている。
子役二人の演技がいい。小池栄子はイヤな偏見女の役をよく受けたなと感心。サウンドデザインにやや難があり、カメラと被写体の距離の変化に台詞の音量が追随しないシーンが気になった。
本気で編むとき
最近流行りのトランスジェンダー物
幾分進む理解
また多様性かよ(笑)これを認めなければ人にあらず、認めている私って...
矢張りLGBTは苦手かも・・
こんなにも
色んな場面で、色んな人から、何度も、何度も、「同じことで」、傷つけられるなんて。あの方の訃報とも重なり、悲しくて、哀しくて。あんな終わり方ではなく、もっとがんばって欲しかった、なんて、思っていた私は、まだまだその苦しみを、想像しきれていなかった。様々な「母親」、様々な「女」、連なる「母娘」。何度も泣いたけど、トモの成長と変化も描かれていたから、決して重たくなかった。むしろ暖かく優しい場面の数々。「リンちゃん」と呼びかけ「だって女の子だもんね」と願いを叶えてあげようとする心、「身体の造形を間違えたのは神様」という考えが、もっともっと自然で、「あたりまえ」な社会になって欲しい。初めてお弁当を開いたときの喜びも、忘れたくない。
あなたは、自分は人としてどういう人なのか
女性の心をもつ男性に生まれたリンコはトランスジェンダーであり性転換手術を行い、理解あるパートナー・マキオと暮らしている。いずれは女性として戸籍も登録する予定であり、名実ともに女性である。それでも外見上は男性の名残があるため、女装をしているような男性と見られることがあり、一般的には理解されにくい面がある。
マキオの姉は、娘のトモを片親で育てているものの、時折、育児放棄しては戻るということを繰り返している。そのたびに、トモは叔父のマキオの世話になってきたが、今回は様相が違った。
マキオはリンコと暮らしていて、リンコの女性である面がふつふつと感じる場面が多い。母性愛がすごく感じる演出になっていて、演じた生田斗真には拍手を送りたい。
最後はそれでも生みの親の母親の元に戻ってしまうけれど、ひと月余りを過ごしたリンコとの思い出、愛情は一生、残りつづけるだろう。ひとは心の美しさが大事であり、一見した外見だけの判断では誤ってしまう可能性が多分にあることを示唆してくれる映画。女性や男性の型式にハマることなく、まずは人としてどうなんだというところを突かれているようで、ひとを観る目を柔軟にしてくれる映画。とてもよかった。
あとはカットの寄りと引きのバランスが自然で、カメラワークも緩やかで落ち着いていて、ゆっくり観ることができた。
もみ放題
最高の映画!
今までみた邦画でベスト3に入るかも。
この監督は元々好きだったものの、ストーリーが重そうで二の足をふんでました。
観て良かった!!
確かに内容を説明しようとすると重いし理不尽な事が沢山起こるんだけど、重い、より優しいが強い。
思わずクスリとしちゃう会話もあれば、思わず涙しちゃう場面もあり動きはゆっくりなのに全然飽きない。
描かれる人や音楽や会話のテンポ感が凄く心地いい。
リンコが与えた優しさが主人公へ、主人公から周りへ伝わっていく温かさがとても良かった。
思わず母親を邪魔だと思ってしまった。
生田斗真が見た目も中身も本当に女性らしい女性にしか見えず驚いた。
他の演者、主人公も上手くてビックリ。
これは周りにお薦めしなくては!
このご時世、観ておいていいかもと思う作品
この映画。
何より作りが丁寧だ!
テーマの前に作品の総合力として称賛出来る。
初めて観るトランスジェンダーとネグレクトの少女を中心にした物語。
実にリアリティを感じながら、作り物的な違和感を感じさせない。
実際自分の知り得る人でトランスジェンダーもしくはLGBTに出会した事がない。
なので知ったかぶりをする様な事をココでは書きたくない。
作中のセリフでは唸るシーンが多く、その先が気になり続ける。上手い。
音。
オープニングからこだわりを感じる。
様々な生活音の再現において5.1サラウンドを実に丁寧に使う。
作品の終始、この生活音の再現性には強めに聞こえてくるので作品に包まれてくる。
認知は進んできていても、社会の受け入れやルール、制度がまだまだ整わない中ではまだまだ懸案事項が山積みだ。
それでも今その人たちはリアルタイムにその環境下で生きていかねばいけないんだなとこの作品では伝えてくる。
奇しくもリンコの母親役の田中美佐子さん。
鍋パーティー中のセリフはご法度と思われがちだが、綺麗事無しに本音を映画で見せたことに意義はあるなと思って感心してしまった。
そうだと思うが、口に出すのは難しいのだ。
子役主人公の柿原りんこちゃん。
この子、どっかで見たかなぁと調べたら大河ドラマの西郷どんの序盤で村の娘役で衝撃的にいい演技をしてチェックしてたこと気づいた!
この映画を観てやっぱりなぁと納得の子役さん。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、結論もオチもないが、観た人には何か新しく感じ取ったものがあればという事だろう。
エンドロール中の楽曲の選曲が見事過ぎて感動締めでした。
リンコの母親、トモにむかって「おっぱい出てきた?先っちょ痛むでしょ...
どこにもぶつけられない悔しい気持ち、どうしてますか?
LGBTや育児放棄等の重めのテーマですが、重くならずに静かに泣けて、優しくなれる映画でした。
まず、リンコさんが良かったです。心と体の性が異なる為に子供の頃から辛い目に合ってきましたが、そんな悲しさや悔しさを乗り越えてきたからこその優しさが滲み出ていました。演じる生田斗真さんもトランスジェンダーという難しい役どころを違和感なく自然に演じています。
そしてトモちゃんも素晴らしかったです。家で一人コンビニおにぎりを食べる場面や、タンスの洋服を破って嗚咽する場面、泣けました。本当は寂しくて仕方が無くて、常に母の愛を求めているのに、外ではそんな雰囲気を微塵も出さず淡々としています。複雑な環境で生きる11歳という微妙な年頃の少女を柿原りんかさんが好演しています。
この物語には、色々な母親が出てきます。子供を放り出し、女としての自分を優先しようとする母。自分の価値観を押しつけ、子供本来の姿を受け入れようとしない母。自由奔放ではあるけれど、ありのままの子供を受け入れる母。夫に捨てられた虚しさを娘に見透かされる母。血の繋がりは無いけれど、精一杯の愛情で子供を包み込む母。どれが良くてどれが悪いというのではありませんが、子供にとってはかけがえのない大きな存在である事に変わりは無いのだなと思います。
LGBTという言葉。昔に比べたら浸透してきているのだとは思います。私も理解しているつもりでしたが、‘つもり’であった事に気付きました。
子供時代のリンコさんの描写。体育の授業が辛い。映像を見てはじめて確かにそうだよなと思いました。また、リンコさんが入院する事になった時、病院側の対応に憤るマキオ。なぜそんなに怒ってるの?と思ってしまったのですが、男部屋に入院させられるリンコさんの気持ちを思ったら確かにそうなるよな、と思いました。こうやって映像で見る事で初めてトランスジェンダーの方の辛さを感じる事ができたと同時に、相手の立場を思いやる自分の想像力の無さにも気付きました。
自分の体や世間の偏見に苦しむリンコさん。家庭環境をからかわれたり、母の愛を得られないトモちゃんの辛さ。自分がどんなに頑張ってもどうにもならない事で涙する彼女たちの悲しみや悔しさ。痛いほど伝わってきます。編み物に念を込めて燃やして昇華させるリンコさん達。上手く言えませんが、彼女たちの芯の強さや奥深さを感じました。
愛の濃縮還元
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