「帰る場所はどこでもいいのかも」彼らが本気で編むときは、 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
帰る場所はどこでもいいのかも
登場人物それぞれをあまり深く掘り下げず、感情的になりすぎることもなく、静かに見守るような視点で描かれた映画だった。
トモの口調が良かった。「あぁ…はぁ。」って相槌になぜかグッと来た。
子役の子、演技上手いし可愛くて何年か後が楽しみ。
上白石萌音ちゃんみたいになりそう
リンコは内面がよく出来すぎてるんじゃないかってくらい笑
今まで想像もつかないくらい色々な体験をして、ああいった人間になったんだろうんなーと思うけど、そういう部分をあまり描かないのがまた良いのかな。
生田斗真が美形ですごく綺麗なんだけど、反面結構ガタイがいいのでちょっと無理してる感があって逆にそれがリアルだった。
今時珍しいくらいの女性らしい仕草と、ちょいダサめの服装も。
家族って不思議なものだなーって最後は思う。
客観的に見たら、トモはマキオとリンコと一緒に暮らした方が幸せになれそうなもんだけど、そういう問題でもないんだろうな。
どんな人でも親は親で子は子で、理屈じゃないもので結ばれているんだろうなと。
まあ離れたほうがいい例もあるけど、この映画の最後では親子で一緒に成長していけそうな未来が見えたので良かったな。
ちょっと気になるのが幼馴染のカイ君親子。
リンコの母親が自分の子供の性を受け入れて真っ直ぐに向き合うのに対し、「普通」の価値観に囚われ子供に押し付ける母親。
カイ君は自殺未遂するまでに追い詰められちゃったわけだけど、その後あの親子がどうなったのか…
「あんたのお母さんは間違ってる」ってきっぱり言い切るトモはすごくかっこよかったけど、その心があの母親にも伝わってくれるといいんだけど。
今気づいたけど、父親ってのが全然出てこなかったな。
トランスジェンダーがどうのこうのっていう前に、母親と子供の色々な姿を映した映画なのかもしれない。
親子といっても人間対人間なんだよね、本当…
私自身が母子家庭の娘なので、より近い距離に感じることができた。
映画の中の人達の幸せを祈ると共に、私も幸せになりたいなーなんて考えちゃう夜でした。
毛糸で編まれた108本のダンコン、すごく可愛いんだけどなんだか微妙な気持ちになる笑