「人それぞれの「編む」こと。」彼らが本気で編むときは、 liskyさんの映画レビュー(感想・評価)
人それぞれの「編む」こと。
良い映画でした。
出てくる役者さんすべて「名演」では無いでしょうか?
いわば「悪役」である小池栄子も名演でしょう。あの人こそ、言ってしまえば「普通」の人の反応なんじゃないでしょうか?トモにスーパーに会った時の感じ、観てる我々は彼女に腹がたちますが、「息子の同級生」が家を出てああいう人と暮らしている、と知っていればむしろ彼女は「良い人」と言われてもいいと思います。が、良い人の善意が圧倒的に誰かを傷つけてしまうこともある、ということを残酷に描いてました。
とにかくひとつ言っておきたいのは、この映画に出てくる料理の、ことごとく美味しそうなこと!エンドロールを観てフードコーディネーターが飯島奈美さん(深夜食堂、南極料理人、、)!!やっぱり流石です。この人の料理は決して背伸びしてなく、例えば「普通の家庭でこんな料理作る??」と思わせることのない事です。普通の家庭料理で、それでいて少し手間がかかっていそうで、とても美味しそう。この作品のもう一人の主役は飯島奈美さんの料理でしょう。
そして、「編む」こと。僕自身は編み物を出来ませんが、誰にでも、彼らにとっての編み物のような、悔しい時、辛い時、やりきれない時に没頭するものがあるはずです。料理だったりジョギングだったり。
りんこさんもまきおも、トモもそれがあるか
ら救われたのだと思います。
そして、僕がこの映画を観ていてたびたび言いたくなったのは「ふっざけんなよ!」でした。
トモを捨てた勝手な母も、黒板にイタズラ書きする同級生も、息子の気持ち分からず「あの人たちは普通じゃないの」という小池栄子も、りんこさんを男性の6人部屋に押し込む病院も、みんな、ふっざけんなよ!と。
そんな時、彼らは「編む」のでしょう、人に洗剤をぶっかけるのではなくて。
※田中美佐子の「ラッキー!☆」がとってもキュートでしたね^_^