「"漢江ツイスト"の世界観を広げた、ファンムービー」イイネ!イイネ!イイネ! Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
"漢江ツイスト"の世界観を広げた、ファンムービー
クレイジーケンバンドによる、結成20周年記念のファンサービス映画。なので、ニュートラルな映画ファンには、特別なものはない。公開劇場も横浜地区+東名阪・福岡という感じ。
もちろん横浜が舞台で、ボーカルの横山剣が、本人ケン役で主演。バンドメンバーもそのまま本人役で、少しだけセリフもある。タイトルは、横山が歌の途中で入れる"イーネッ!!"という合いの手から取っている(Facebookより古い)。
門馬直人・監督と一雫ライオン・脚本というコンビは、ファンキー加藤主演の「サブイボマスク」(2016)と同じで、アーティストの経歴を取材して、そのカラーをストーリーに反映する手法も同様だ。他のアーティストにもシリーズ化するつもりか?
本作は、クレイジーケンバンドの楽曲"漢江ツイスト"の世界観を広げたような作品。横浜で出逢った韓国人女性を想う詩だ。本人役とはいえ、ドキュメンタリーではなくフィクションで、横浜本牧生まれのケン、トニー、ドブオという、幼馴染3人組の友情ストーリーでもある。
大人になったトニー(中野英雄)は、クレイジーケンバンドのマネージャーになり、ドブオ(伊原剛志)はヤクザになった。バンドの横浜スタジアムでのワンマンライブが決まった夜、謎の韓国人女性を救ったことから、事件に巻き込まれていく。
音楽本業のアーティストに、ヘタな演技をさせるよりも、本人役にしてしまえば、それほど破綻はしない。とはいえ横山剣は、歌やMCではデカイ声なのに、口ごもって聞こえづらいセリフ箇所がある。
中野英雄、伊原剛志の2人以外にも、金子賢がストーリーのキーマン的な存在。菜々緒も出ている。オープニングDJ役で山口智充(グッサン)、宮川大輔、AKB48を卒業したばかりの小嶋陽菜…と、友情出演的な意味合いもあるようで、まさにファミリー映画だ。
曲の歌詞が、自身の経験から生み出されているバンドなので、流れる曲とリンクして進むシーン(そこまでは分かる)は、おそらくファンには堪らないエピソードが詰まっている。
バンドの演奏シーンも出てくる(イーネッ!!)。話が実際の事実とハイブリッドなので、一瞬どこからフィクションなのか混乱したりもする。でも、まさか反社会組織と友だちというのはマズイよね(笑)。
一応、シネスコアスペクトで収録されていて、ルックも昭和映画的。プライベートビデオ以上、映画未満で、ファンサービスとして考えれば120点だろう。
(2017/6/24/TOHOシネマズ新宿/シネスコ)