暗黒街のレビュー・感想・評価
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すべての要素がクライマックスに向け大崩壊を遂げていく様が圧巻
『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』でハリウッドデビューを果たしたイタリアの鬼才ステファノ・ソッリマ監督による野心作。政界から宗教界、それに様々な利権が絡んだ都市開発に地元の新旧の悪党どもが絡み合い、泥沼化していく関係を修復すべくフィクサーが暗躍する。この壮大な相関図が一人の少女の死を機に“アポカリプス・デイ”へ向けて大崩壊を遂げていく様があっけにとられるほど壮絶だ。序盤は全容がなかなか見えてこず、やきもきさせる点も多いものの、しかし中盤からの怒涛の渦はとても見ごたえがある。見ていて辛くなるほどの悪人たちにもふとした瞬間に個性が光り、弱肉強食の世界ですぐに捕食されてしまいそうなひ弱な者たちが決して負け犬で終わらないところにも味わいがある。モザイクやセックスシーンの激しさゆえ、観る人によっては若干引いてしまう場合もあるかもしれないが、ソッリマ監督を攻略するなら必ず押さえておくべき秀作だ。
実体のないマクガフィン
ドロドロ
音楽を久石譲にすれば完璧なノワールフィルムに
ゴッドファーザー3とトルゥーロマンスが合体。
ブレードランナーみたいな音楽を差し替えてくれ。
ネットフリックスでドラマ化されているらしい。
2011年11月5日から1週間カウントダウンされる。アポカリプスが黙示録という意味らしいが、当時ベルルスコーニが未成年者売春罪と職権乱用罪で起訴され政界を退いた日なんだとか。
ローマ法王が生前退位を希望するのも、2013年にベネディクト16世がそうしたことを意識してのものと思われ当時のイタリアの世情も反映した世界観、らしい。
舞台はローマの海沿いの街オスティア。ビーチが有名らしいがほとんど雨。景色が美しいシーンもあるが。
建物にプロジェクションマッピングを施したパーティーシーンや複合ショッピングモールでの銃撃戦など予想外のスケール感。
WOWOWでは大きなボカシが入るぐらいの3P買春キメセクシーンもあり。
ホテルのベランダから放尿したり、人間ピンボール、コカイン炙り、ドラッグ注射シーンに拷問等ハードなシーンもたっぷり。
これといった主役を立てない中で、ナンバー8のジャンキー情婦ヴィオラで〆るのは格好いい。女性はみないい人。
「取引?私と?今度にしな」のセリフもエンドロールの黒地に雨もいい。
サムライの最後もマンマに会いに行った帰りてのがイタリアっぽい。
イタチみたいなこすっからい奴が効いてる。
イタリアではジプシーってバカにされてるのね。
駒
タイトルなし(ネタバレ)
ローマ郊外の小さな港町オスティアの再開発を国会で審議中の郊外再開発法案に盛り込むべく暗躍する謎の男"サムライ"と甘い蜜を吸おうと群がる魑魅魍魎たち。ヤクザの父親を追い越そうと躍起になる血の気の多いネオナチチンピラと彼女、政治家達に擦り寄り私腹を肥やす実業家と借金まみれの父親、ジプシーと呼ばれ疎まれる新興ヤクザのボスと義弟。一人の少女の死をきっかけに剥き出しになった彼らの野望が複雑に折り重なる、2011年のベルルスコーニ首相退陣を”黙示の日”と捉えてそこに至る1週間の出来事を綴った群像劇。
2年後に生前退位することになるベネディクト16世の心情を巡るドラマも時折交えることで政治・経済・宗教のそれぞれにおいて深刻な危機に直面していた当時の背景に深い陰影が滲み、奇妙な縁で結ばれた人々がくっきりと浮かび上がっていて、『ゴッドファーザー』以降のギャング映画の影響下にあるスタイリッシュで重圧な映像に時折挿入される濃厚な家族愛と爽やかな朝の風景というアクセントも効いて血塗れなのに爽快という絶妙なバランスの佳作でした。
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