「右手で握り締めるロザリオ」ローマ法王になる日まで everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
右手で握り締めるロザリオ
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主人公が神父を志す頃、アルゼンチンの政治は不安定となり、軍事独裁政権の支配下に。反政府主義者に対する弾圧で、司祭達や教会を頼る民間人も捕われ拷問や死刑の対象になります。教会の上司は事なかれ主義なのか、軍の権力になびく始末。なるべく上手く危険を回避し、出来るだけ多くの人命を救おうとする主人公の計らいには、教会という大組織内での中間管理職ならではの辛さを感じました。
行方不明者は行方が分からないのだから救いようがないと発言するアルゼンチンの大統領。軍は邪魔な民間人を拘束して軍用機から海に捨てていく。恐怖や驚きを通り越して、開いた口が塞がりませんでした。
必要とあらば政治家/軍人に脅迫まがいの言葉をかけ、シスターと喧嘩し、実母の小言は聞き流すという、現教皇を等身大の人間として描いていて好感を持ちました。
政治と宗教の互いの介入、ミサで現実の一体何が変わるのか。祈りは怒りと憎しみに溢れた心を鎮めてくれるのだと思いました。
社会的弱者の居場所を確保するべく、地道に現実的に活動してきたお方だということが良く分かりました。
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