「原作ファンでも渋いストーリー構成」劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女 きもちのせんしさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンでも渋いストーリー構成
お兄様がかっこいい!という理由で見るなら構いませんが、ストーリー性や戦闘シーンに期待してみるのでしたらやめた方がいいと思います。
90分という限られた時間を全て無駄にする構成です。起承転結で言えば起結のようなスカスカの内容。
順を追って私が満足できなかった点を書き連ねます。
まず、本題に入るまでが長いです。
入ってると言えば入ってるのですがだらだらと日常シーンを描きすぎてストーリーに感情移入できません。キャラの魅力を伝えたい、サービスシーンを混ぜたいという気持ちは伝わってきますが流石に長すぎてくだらないという感じてしまうほどです。
最初に多くのキャラクターに出番を与えているにも関わらず肝心の戦闘シーン等ではお役ごめんで撤退。これも違和感があります。
今回のストーリーでは何一つ影響力がないのであれば前半のサービスシーンを短くして中盤から後半にかけての話をより深掘りすることが可能だったのではないでしょうか。
次に明確な敵が存在しないと感じてしまう点です。本映画の場合、悪者は研究長として存在してはいますがストーリーにほとんど関わってこないため、折角研究データを破壊したにも関わらずスッキリも何ともしません。最終的に彼はどうなったのか、研究所はどうなったのかもあの映画の中では曖昧。
実際、今回の名シーンは衛星を追撃するところなので研究所の部分が丁寧に描かれていなくても問題ないと思う方もいるかもしれませんが個人的には満足できません。
端的に説明すると研究でミスをして落っこちてきた衛星を止めるだけの話。何一つ苦戦するシーンもないので凄みが感じられないのも残念でした。
次に戦闘シーンがオマケでしかない。
待ちに待った劇場版ということでそうではない方もいると思いますが私はタツヤやミユキが敵と対峙し盛り上げる場面を楽しみにしていましたがそのようなシーンはございません。強いて言えばレオンハルトとエリカに対人の戦闘シーンがありますがそれっきりです。加えて、ぽっとでのジュウモンジ先輩に戦闘描写を持っていかれるのも、唐突すぎて謎でした。あそこまで来てなぜ唐突に出したのですか?彼を出さないと倒せないほど強い敵であると伝えたいのでしょうか?
また、彼らは敵というわけでもなくたまたま軍事的措置の上でぶつかり合ってしまっただけ。そのため彼らを倒したところでスカッと感じるわけもなし、更には最終的に逃げられてしまう。言ってしまえば無理矢理戦闘描写をつくってあげただけという感じでした。アニメの視聴者はこれで満足するだろとでも思ったのでしょうか。侮るのも大概してほしいものです。
最後に衛星を破壊するシーン、勢いだけでなんの捻りもない。
俺なら無害で破壊できる、だから宇宙に飛ばしてくれ、飛びました、はい壊しました、降りました、おわり。はいおめでとう(笑)
最後にオーロラを出したのは場面をきれいに仕上げるためだったんですかね、唐突だったのでポカンとしてしまいました。
壊し片もいつも通り銃で撃つだけなのでワクワク感がない。タツヤでなければ出来ないというのは分かります、それほど凄いことをやってのけたのも分かります、然し乍、あのシーンからはそれが一切伝わってこない。タツヤ最強だとしても本当に止められるのか、大丈夫なのか、という楽しみも欲しかったです。
上記の理由から楽しむことができませんでした。この映画に満足してる人がいるとしたらこの映画のレベルで無理矢理自分を納得させているだけだと思います。