劇場公開日 2016年6月10日

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「日本語吹き替え版で見たかった」マネーモンスター うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日本語吹き替え版で見たかった

2024年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

劇中、アホなコメディアン気取りの番組キャスター(ジョージ・クルーニー)が、使命に気づき、良心に従って行動するようになる心理描写の巧みさ、これには監督であるジョディ・フォスターのキャリアがそのまま投影されているように思える。
それでなくとも、例えば株で大損した男の妻役の女優さんなんか、どう見ても女優ジョディのコピーだ。ディレクター役に運良くジュリア・ロバーツをキャスティング出来なければ、監督の彼女自身がこの役を演じていたのではないだろうか。

とにかく、ジョディは骨の髄まで映画人なのだ。

久々に、アメコミ原作ヒーローではなく、キャラクターも出ない、続編でもなく、○○受賞作でもない、それでいて娯楽に徹した映画を見た気がする。間違いなく彼女にしか撮れない映画だろう。
今後、クリント・イーストウッド級の「演じて、撮り、ヒットさせる」監督になるか、ウディ・アレンのような、クセのあるブランドになるかの可能性を感じるが、彼女には前者を期待したい。

レズビアンを公言した彼女の作品に特徴的なのが、割と無造作にはさみ込まれるSEXシーン。これがことごとく乾いた表現で、まるで家族や隣人のそれをのぞき見しているかのごとく、「いやらしさを伴わない」。何しろ自ら演じたメル・ギブソンとの濡れ場ですら、エッチな淫靡さが感じられないのだ。
やっぱり、監督の好みとかこだわりって、画面に投影されるものなのね。

まあ、好みが分かれる映画だと思うので、無理におすすめはしませんが、私はあと2回は観たいと思っています。その理由は、字幕の情報量の足りなさに日頃から不満を感じていて、特にこの映画ではそれが顕著だったこと。

例えば、サで始まるカタカナ6文字の謎のキーワードがジュリアとクルーニーの間に何度も交わされますが、映画のスピードに着いて行けず、謎のまま理解できなかったり、ジョージのアホぶりの演技が、メディア担当女史の肩書きを間違えて言ったのか、ただそう聞こえただけなのかは、字幕を追っかけるだけでは判断できなかったりと、あらためて、「日本語吹き替え版」のありがたさに気づかされました。

それ以外にも、テレビ画面に映される各局のキャスターたちの中に、意外なカメオスターが紛れていたり、確認したいことがたくさんありました。ブルーレイが発売された時には、願わくば吹き替え版と、スタッフ・コメンタリーが収録されることを強く望む次第です。

うそつきかもめ