「21世紀の『狼たちの午後』」マネーモンスター りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
21世紀の『狼たちの午後』
テレビで毎夕放送されている「マネーモンスター」という番組は、その日のマーケット情報をエンタテイメントでみせる財テク・ショウ番組。
プロデューサーはパティ(ジュリア・ロバーツ)、司会はリー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)。
ある日、これまで好調だった会社の株が暴落して、8億ドルの資産が消えた直ぐ後のこと、この番組の生放送の最中に一人の男(ジャック・オコンネル)が拳銃と爆弾を持って現れ、番組を乗っ取ってしまった。
彼の言い分は、リーが推奨する株を買って、今回の暴落で全財産を失った。責任はリーと、その会社のオーナーにある、と・・・というハナシ。
おぉぉ、緊迫の立て籠もり映画!
という感じで始まるのだけれど、ハナシが進むうちに、犯人側も人質側も、それにそれを生放送する側にも人間的な滑稽さが滲み出てくる。
そして、そのうち、人質側が犯人側に同情してしまう。
観ている側も、犯人に肩入れしてしまう・・・
って、この構図どこか昔に観た記憶が・・・・と思っていると、思い出しました!
『狼たちの午後』。
1975年製作、アル・パチーノ主演、シドニー・ルメット監督作品。
あの作品でも、観ているうちにどんどんと犯人側に肩入れしたくなっちゃいました。
そうすると、この『マネーモンスター』でも、最後は・・・
巨悪が暴かれるというヒネリは加えられているものの、『狼たちの午後』に似ている。
『狼たちの午後』が1970年代のリアルな米国だとしたら、この『マネーモンスター』は2010年代のリアルな米国なのだろう。
さすがにジョディ・フォスター、1970年代からハリウッドで活躍しているだけのことはある。
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