「.」サイバー・ストーカー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。日本劇場未公開作、原題"Ratter"。ネットに繋がる様々なカメラを通したPOV。コマ落ちやデジタル特有な画像の乱れ等、機器越しに配信されたとされる画面はリアルだった。だがM.マクゴリーの“マイケル”がどうなったのか判らず終いだし、実は犯人は……と云った意外性も無く、何の捻りも無いストレート過ぎるラスト。設定や手法が似ている『デス・チャット('13)』の方が、ストーリー性があり佳かった。骨太のヒロイン“エマ”のA.ベンソンに興味が持てなければ、ただただ退屈な事請け合いの一本。35/100点。
・割れたレンズ越しに突入して来る警官姿を見せられ、フェードアウトして終了──エンドクレジトを中断して迄のシーケンスでは無く、意味的にも画的にも弱い曖昧で不徹底極まりないラスト。
・間延びした間違い探しの様な画面が延々と続く上、物語の深みが殆ど存在せず、全てが中途半端な印象で、ネット内の乗っ取りには要注意と云った内容しか伝わらない。登場人物が少ない割に人物描写も弱く、黒猫のエピソードの扱いも淡泊。
・時折登校するのみで、バイトをする訳でもなく、外れとは云え広い部屋に住むNYの学生は何とも優雅だなと感じた。そして出掛ける際は鞄のファスナーを閉めるのとスマホを置く際は、カメラ側を下にするべしと云う教訓を得たが、ネット(ストーキング)絡み以外の描写は白々しくどこか絵空事で、サスペンスやスリラーとしても見劣りしてしまう。
・本作はMTVで放送されていたドラマシリーズ"Eye Candy"に設定やストーリーが酷似している。
・"Vimeo Awards 2012"にノミネートされたドイツの学生による"ZBros Production(B.クレイマー、J.ジャウォースキー、S.ハーフェルカンプ、T.クロップ)"製作のショートフィルム"webcam('12)"が本作の元になっている。
・鑑賞日:2016年5月21日(土)