「「“罪悪感”は感染する」…一人の母親の行動・見聞・内面だけを描くことで娘の内面も描き出す新境地」ジュリエッタ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
「“罪悪感”は感染する」…一人の母親の行動・見聞・内面だけを描くことで娘の内面も描き出す新境地
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①アルモドバル監督にしてはストレートな劇だと思ったらやはり原作ありきだった。②母親が知らなかった娘の言動が顕になるところはあるが、サプライズというほどではなく、殆ど捻りのないストーリーで、これまでのアルモドバル監督の作風とは一線を画している。③ただ、現在の娘は一度も画面には出てこない。しかし、母親の回想、母親の今までの人生を描くなかで徐々に娘の心の軌跡が観るものに伝わってくる。これまで、個性的な人物達の群像劇を描くことを通して何かを表現してきたアルモドバルにとって新しい表現法ではないだろうか。④演出はさらに円熟味を増している。ここで実験した一人の人間の過去・現在にフォーカスを当てる手法に、かつアルモドバル本来のテイストも加えた物語を円熟味をました演出で描くことで「ペイン・アンドロ・グローリー」という傑作が生まれたのではないだろうか。⑤しかし、演出の手法・方法は違っても、途中の展開が予想不可でも、全てのアルモドバル作品は最後に何らかの救いがある点では一貫しているとは思う。⑥蛇足:過去のジュリエッタを演じる女優、現在のジュリエッタを演じる女優、どちらも美しく魅力的なのが大変宜しい。
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