「自分を駆り立てるものがなんであれ、突き進む」美しい星 ビート板教室5年目さんの映画レビュー(感想・評価)
自分を駆り立てるものがなんであれ、突き進む
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タイトルは吉田大八監督作を5作鑑賞したうえで、共通しているなと感じたテーマを言葉にしてみました。
今作も、共通のテーマが描かれています。
桐島部活やめるってよ、においては、非モテオタク趣味として嘲笑されようが自分を夢中にしてくれるゾンビ映画の世界へ突き進みます。
前作紙の月では法を犯そうとも、横領する事をきっかけにあらゆるしがらみを超越していく自分自身を最後まで肯定し、突き進む。
今作において過去作同様登場人物達を駆り立てたのは、ズバリ虚構だと思います。胡散臭い水を有り難がるのも、虚構ですし、クズ男の投げかける台詞も虚構。太陽系連合も虚構かもしれない。
家族達は全員、クライマックス以前で自分達が一度は陶酔した虚構に裏切られ、残酷極まりない現実を突きつけられます。
虚構は人の尊厳を傷つけたり(娘)、他を排斥する独善的な思考に向かったり(息子)金儲けの為に騙す手段(母)になったりします。
しかし、それでも、最後には虚構かもしれないと思いつつも家族全員で父親の虚構に付き合った…その結果リリーフランキーは窓から見える虚構まみれの世界に、もう一度美しさを見出します。それが美しい星なのだと思いました。
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