「一大トリックショーから後出しジャンケン大会に」グランド・イリュージョン 見破られたトリック 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
一大トリックショーから後出しジャンケン大会に
マジックを駆使して悪を裁く正義のマジシャン
“フォー・ホースメン”の活躍を描く、
大ヒットサスペンスアクションの続編。
今回は“フォー・ホースメン”を出し抜く謎の魔法使……
あ、違う、IT企業家の青年が現れ、彼らを陥れようとする。
前作はド派手なマジックショーの雰囲気や先の読めない展開、
そして力業だが爽快感のあるラストのどんでん返し
などをけっこう楽しんだ自分(4.0判定を付けた)。
だけど今回は……
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もう最初から不満点を書き連ねていく。
まずは、あのね、催眠術使い過ぎ。
前作でも「さすがにあんなにアッサリ催眠術に
かかるとは思えないけどまあ少しくらいはいいか」
と思っていたくらいの反則技なのに、今回は
困った時はぜんぶ催眠術じゃねーかと
思えるほどの催眠術無双。
また、前作のどんでん返しは多少強引ではあれ
アガサ・クリスティのようなどんでん返しで面白かったが、
今回は物語全体を覆すようなサプライズは無い上、
“多少強引”どころか伏線らしい伏線まるでナシの
細かなサプライズばかりでちっとも面白くない。
誰が誰と血縁でしたとか、あの人達の登場とか、
最後に明かされるあの人の正体とか、
敵や味方のサプライズ発表をいきなりされてもさ、
「いやぁコイツは一本取られたな! 騙された!」
なんてこっちは思えないよ。
なんつうか、お互いに後出しジャンケンに次ぐ後出し
ジャンケンばっかしてる連中を見せられてる気分で、
後半に行くほどにイライラが募ってくる。
中盤のカードトリックも見せ場のひとつだったんだろうが、
ユルユルな作戦とバタバタな展開で「ホースメン
けっこう駄目じゃん……」とかえってガッカリ。
クライマックスもそんなトリックだろうでハラハラはしないし、
いきなり内輪揉めを見せられたのに拍手喝采を贈る観客にも違和感。
あとは、強敵っぽく登場したラドクリフの小物感、
全体的なアクションスケールの減少も残念。
前作のキャスト、FBI捜査官のメラニー・ロラン、
ヘンリー役アイラ・フィッシャーの不参加も残念。
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まあ良かった点は、ヘンリーの後釜として登場する
新ホースメン・ルーラが茶目っ気たっぷりで楽しかった事。
冒頭のピタゴラスイッチや妙に物騒なマジックが笑える。
5人目のホースメンであるあの人も(一応前作未見
の方のために伏せる)、マジックを駆使した格闘術は
楽しい見せ場のひとつだったし、偉大なマジシャン
だった父を超えていく展開もドラマ的な見所ではあった。
終盤のゲリラマジックショーも楽しかったかな。
前作も本物の豪華なマジックショーを見てる感覚が良かったし。
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けどそれらだけでは、トリックやシナリオの強引さ
によるガッカリ感は救えない。前作よりも
スケール感が減じたばかりか、前作の粗い
部分ばかりが増長された感じですごく残念。
催眠術にかかったようにウトウトはしなかったけど……
途中からは特に伏線を探そうともせずぼんやり観てました。
イマイチの2.5判定で。
<2016.09.03鑑賞>
余談:
ウディ・ハレルソンて髪多くない方がカッコいいね。
カロロ恥子さん、浮遊きびなごと申します。
直接返信できないのが残念ですが、
コメントありがとうございました!
続編あるなら次は七三分けの
ハレルソンを見たいです。嘘です。