「初夏にふさわしい良作」若葉のころ bogieさんの映画レビュー(感想・評価)
初夏にふさわしい良作
映画を心で観る人と、映画を頭で観る人によって、評価が分かれる作品かもしれない。母と娘、二つの時代の初恋を導き出す動機付けが、多少強引かもしれないが、心を同化させて美しい映像に身を委ねていると、いつの間にか映画を超えた自分の青春時代が折り重なるように甦る。ルゥルゥ・チェンという新しいスターが演じる母娘2世代の“17歳”が瑞々しく、ジョニー・トーの秘蔵っ子リッチー・レンの枯れた中年男も味わい深い。そしてこれが長編映画デビュー作となるジョウ・グータイ監督の若い汗が香り立つような映像美は、ただスタイリッシュなだけではなく、愛に満ちたエモーショナルな熱量が観る者の心を温かく包み込む。小品ではあるが、この美しさはスクリーンの大画面でぜひ観ていただきたい。
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