劇場公開日 2017年7月22日

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「【17世紀の英国、敬虔なキリスト教徒の一家が魔女の幻影により疑心暗鬼になって行く様を不協和音と共に描き出したダークファンタジー・ホラー作品。流石、A24である。心理的に恐ろしい作品である。】」ウィッチ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【17世紀の英国、敬虔なキリスト教徒の一家が魔女の幻影により疑心暗鬼になって行く様を不協和音と共に描き出したダークファンタジー・ホラー作品。流石、A24である。心理的に恐ろしい作品である。】

2023年7月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー ご存じの通り、今作の監督・脚本は狂気の二人の船員の姿をモノクロで描いた「ライト・ハウス」のロバート・エガースである。
  冒頭の不協和音溢れるシーンで、この監督の作品ではないかと思った程、作品世界が屹立している。
  更に言えば、今作は敬虔な家族たちから魔女ではないかと疑われたトマシンを演じたアニヤ・テイラー=ジョイの、実質的なデビュー作である。-

◆感想

・序盤から、敬虔なキリスト教徒であるウィリアム一家を、不可思議な出来事が次々に襲う。幼きサムはトマシンがあやしているいる最中に姿を消し、弟のケイレブは”明らかに魔女と思われる”女に誘惑され、姿を消す。

■敬虔なキリスト教徒であるウィリアム一家が犯した禁忌

 1.夫、ウィリアムは罠を買うために、妻が父から引き継いだ銀のコップを妻に言わずに売り渡す。<嘘の罪>

 2.トマシンの双子の娘は根拠なき噂により、姉トマシンを遊びで魔女扱いする。<虚偽の罪>

 3.ケイレブは魔女の誘いに乗り、口づけを交わす。<姦淫の罪>

・故に、夫、ウィリアムは根拠なく、トマシンを魔女ではないかと疑い始め、”裸身”で戻ったケイレブはうなされながら、口から林檎を吐き命耐える。
 - 林檎の意味、分かりますね。禁断の果実である。アダムとイヴね。-

・結果、トマシンは自分を魔女と思い責める母親の首に刃を突き立てるのである。

<そして、トマシンは魔女たちが裸身で踊る怪しげな宴に、自らも裸身になり参加していくのである。魔女になったという事である。
 流石、A24である。実に心理的に恐ろしい作品である。

 アニヤ・テイラー=ジョイを劇場で私が知ったのはシャマラン監督の「スプリット」「ミスター・ガラス」であるが、彼女が存在感を示したのは「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」であり、「ザ・メニュー」である。
 彼女は、ダークファンタジー・ホラーでその存在感を発揮している有望な若手女優であるが、更なる分野でも活躍を期待したい女優である。>

NOBU