劇場公開日 2017年7月22日

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「潔癖主義と抑圧が生み出す“悪魔”」ウィッチ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0潔癖主義と抑圧が生み出す“悪魔”

2017年9月30日
PCから投稿

怖い

知的

開拓民の村を離れ、人里離れた荒れ地で暮らす一家が、信仰にすがりつくあまり狂気に陥っていく。いろんな解釈ができるだろうが、自分にはそう受け取れた。

とにかく閉塞感漂う映像の寒々しさが凄まじく、ついアニャ・テイラー・ジョイの美貌をよりどころにしたくなるが、そんな生易しい気持ちはいともたやすく吹き飛ばされる。ほんの少しの猜疑心や悪意が、らせん状に増幅していく様が戦慄を生み、ホラーとサイコスリラーのすき間を縫うように這いまわる。

主人公家族それぞれの主観が入り乱れる作品だが、17世紀当時の裁判記録などをもとに生み出された脚本だという。裏話として監督は幻覚作用のある食物の影響を示唆しており、そんなの映画観てても気づかないよ!と思いつつ、謎解きに挑戦してみたくもなる。

また、生真面目を旨とする人が荒れ地になんか行っちゃいかんよという、いろんな局面に応用できる普遍的な教条話でもある。つくづくストイックはほどほどにした方がいい。

村山章