劇場公開日 2016年5月21日

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「今の時代に上映を目指すなら」少女椿 ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0今の時代に上映を目指すなら

2024年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この辺りの改変はやむを得ないんだろうなーとは思う。

伝説のカルト漫画というとメジャーっぽいけどそれこそ知る人ぞ知るレベルのエログロ漫画、丸尾末広作の少女椿の実写化に挑戦した作品。
実写化とは言うものの、そのベースにあるのは映像作品の方の地下幻燈劇画 少女椿の方だと思う。私は地下幻燈~を先に観てからの鑑賞。

両親を亡くした少女みどりがサーカス団(雰囲気は完全に見世物小屋)に拾われ、虐げられながら生活をしていると、そこにマジシャンのワンダー正光が現れ、瓶の中を出入りする不思議なマジックで人気者となる。ワンダーはみどりを気に入り、自分のアシスタントとして使うようになり、次第に私生活でも支配しようとし始める。

見世物小屋、そこで働くユニークな人たち、その他諸々なかなかストレートに見せることの難しいお題だけど、地下幻燈劇画~と観比べると再現度が非常に高い。場面、セリフの一つ一つまでかなり厳密に再現していることが分かる。
ちょっと素人感のあるキャストが多かった分、なんでここでそのセリフ?と思うところがあるけど、これもアニメのほぼ再現なので唐突感があるかもしれない。

なので終盤まではホントにアニメで観たのが実写になってるなーという感じ。今どき制限が何かと厳しい中で、なんとか無理くりかいくぐって映像化したんやなぁと思うと少しは製作者側の苦労がしのばれる。

それと映画のクオリティとはまた別のお話。キャストも素人感満々で赤座もなんだか痩せちゃっているし鞭棄は存在感無いし、カナブンはほぼ女子ルックスのはずなのに単なる美的レベルの低い女装風男子やし、紅悦はおっ牌めちゃくちゃ綺麗やったからそれでよし。
みんな何というか毒が無いのよね、見世物小屋の役者さんが持ち合わせていそうな。

そこにいきなり風間きゅんが出てくるもんだから、もう一人だけ別格の演技なのよね。でももともとねちっこい小男な感じのワンダーを爽やか風間きゅんがやること自体に無理があり、単なる女子に振り回される可哀そうおじさんになってしまってた。
にしても、風間きゅんの渾身の顔芸が堪能できる映画だとは思わなかった。
これは是非風間きゅんファンに…勧めたら怒られそうやな。

みどりちゃんは…うん、頑張ろう。まあこの役引き受けただけで彼女が優勝。

結構原作を再現することにこだわったんかなーと思ったところに最終版のアレよ。
あれいる?変える必要ある?
なんかそこが最終的に全く釈然としない作品に落としてしまった気がした。

そんなんやったらいっそ別物で描けばよかったんよ。最終盤まで地下幻燈劇画の下地を利用するだけしといて、最後に自分の色を付けて自分の作品ですとかナメとんのかと思った。
せっかく頑張ってるなーと思ったのに大変残念。

みどりちゃん役を引き受けた中村里砂、こんなカルト映画に出ちゃった顔芸職人風間きゅん、紅悦の見事な牌にそれぞれ星一つ。監督のエゴに星マイナス一つ

ハルクマール