「高過ぎる期待値が…」ジェイソン・ボーン ナブラさんの映画レビュー(感想・評価)
高過ぎる期待値が…
公開日に鑑賞しました。感想としては映画としての出来はいいが、期待値が高かった為、少しガッカリという感じです。この作品はスプレマシー派かアルティメイタム派かで評価が分かれると思います。ちなみに僕は後者です。
登場人物の入れ替えがあるだけで、基本的な話の流れは2作目スプレマシーにかなり似ています。過去3部作はリアルタイムでなく、最近視聴したのですが、とりあえず、ニッキーが突っ込まざるを得ないくらい老けてました。(笑)まあ、全力で老いに逆らってる日本の女優よりはいいんだけどね。歳は取るもんだし。
前半のチェイスシーンのシークエンスは見事でした。新たなCIAの幹部、リーの詰将棋的な指示には、ボーンの苦戦も頷けます。前回、アルティメイタムはアクションには大満足でしたが、やはりアクションシーンではストーリーテリングが止まり、2回目以降の視聴で内容の薄さが露見するという所が個人的に気になっていましたが、今回は謎も小出しにされており、頭を使いながら観れるくらいストーリーは濃いです。ただ、観終わると濃密という程でもないなという感じです。
しかし、アクションシーンの見応えはアルティメイタムと比べると下がったと言わざるを得ません。今回、ギリシャデモの中やベガスなどお金がかかっているのはわかるんですが、見覚えのあるアクションがエスカレートしているだけで、ノリきれません。アルティメイタムにはウォータールー駅の尾行をまくシーンや、ノア・ボーゼンのオフィスに侵入するシーンなど、うまいっ!と思えるシーンがあったのですが、今回はあまりそういうシーンがなかったです。そもそもリアリティに根差した地味な戦闘シーンを絶妙なカメラワークで魅せるところが持ち味だと思っていたのですが、そういうのを楽しみにしていると肩透かしにあいます。マット・デイモン自身、アルティメイタムの脚本に難色を示していたような記事もあったのでこういった方向にしたかったみたいですね。あともう一点、これも散見されますが、今回、ボーン自身がCIAの特殊工作員になるキッカケの父親についての話でしたが、とにかく蛇足感が否めない。いつまで過去の事言ってんだみたいな気分になってイマイチ感情移入できません。
まあ、特にアクションシーンに関しては正直満足できない内容でしたが、演出も最近の日本映画のようにしつこくなく、普通に観る分には完成度としてはかなり高い為、オススメです。