劇場公開日 2016年10月7日

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「ボーン VS 監視社会'16」ジェイソン・ボーン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ボーン VS 監視社会'16

2016年10月9日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

個人的にシリーズ1作目の印象はイマイチなのだが、
本作の監督P・グリーングラスがメガホンを取った続編
『ボーン・スプレマシー』は別物かと見紛うほどの
大傑作だった。シリーズでは2作目が一番好きだが、
続く『~アルティメイタム』もかなり面白かった訳で。
そして9年ぶりに同監督・主演コンビでの本作である。
ええいやもうそりゃ楽しみにしてましたとも。

で、今回もスゲー面白かった!
これまでのシリーズには良い意味でのスケールの小ささが
あったと思うのだけど、今回は主人公自体はあくまでその
スケールのまま、だが主人公の周辺が大作並みに
増強されたという印象。大満足の4.0判定です。

* * *

目まぐるしく状況が変化する緊張感とスピード感、
無駄無く瞬時に相手を出し抜く高速度の知能戦、
そしてリアルでソリッドなアクションの数々は、
これぞまさしく待ち望んでいた〝ボーン”。
くわえて、スケールは地理的にも人員的にも
アクション的にも間違いなくシリーズ最大だ。

序盤、デモ隊と機動隊の衝突で数百人の群衆がひしめく
アテネの街を猛速のバイクで駆け抜けるシーン。
この時点でもう並のアクション映画のクライマックスを
とっくに超えるスケールと迫力!
夜のベガスで繰り広げられる最後のチェイスも
口半開きになるレベルで、「お前ら何十台廃車に
すりゃ気が済むんだ」というレベルの大大大破壊!

街の真ん中でいかにCIAの監視網を出し抜くか?
というシーンも多く、百人単位の人や大量の車など、
よくもまあこれだけの物量をさばいてひとつのシーン
(しかも凄まじいカット数)に落とし込めるものだと
改めて監督の手腕に舌を巻く。

* * *

新キャストもグッド。
A・ヴィキャンデル演じる上昇志向のCIA局員ヘザーは
可愛い顔して恐ろしくしたたかで本心が読めない。
T・L・ジョーンズ演じるデューイは正に老獪(ろうかい)。
分かり易い悪党ではあるが、デューイVSヘザーの
腹の探り合いもこれまた見所のひとつなので、
今回はこれくらいの分かり易さが丁度良い塩梅か。
V・カッセル演じる凄腕の〝作戦員”もボーンへの私怨が
絡み、これまでの強敵たち以上に執念深く予測不能。
あ、3作目でヒロインに昇格したニッキーがどうなるかは
伏せるが……「なんて健気な人か」とだけ言っておきます。

* * *

今回のボーンの目的は、自分の身内に関する記憶の探求。
そもそもなぜ彼は、人を殺人マシーンへと変える計画に
志願したのか? その理由とその裏の陰謀が語られる。

にべもなく言ってしまえば
本作は壮大にハタ迷惑な自分探しの旅なワケではあるが、
そこは人間性を一切無視したCIAの計画が発端なので、
いわばCIAが起こした火事の火消しにCIAが
右往左往するという構図。悪党デューイも、ボーンを
変に勘繰ったせいでドツボにハマった形だしね。

今回登場する『アイアンハンド計画』自体は映画として
さして珍しいアイデアではない。だが、劇中登場する監視・
追跡システムの数々と合わせて考えるとやはり恐ろしい。
衛星で標的を自動追跡、アルゴリズムで行動予測、
無数の監視カメラの映像から数百人の顔を同時に分析、
他人の携帯電話を介して他人のPCを破壊――。

さしものボーンですら回避困難だというのに、
こんなものが劇中で登場したような企業と結託したら、
一般人はどこにも逃げも隠れもできやしない。監視社会の
恐怖を描いた佳作『エネミー・オブ・アメリカ』('99)が
もはやお遊びと思えるレベル。まさしく神の眼だ。
使う人間が人間なら、危ない危ない。

* * *

なお不満点は、
舞台を移すたび1探索・1アクション発生という流れが
やや単純と感じた点と、『ベイルートの記憶の中で
アイツが出てきたり、全ての黒幕があの人なのは
さすがに話が出来過ぎ』という点だが、それでも
マッシヴ・スケールの〝ボーン”が観られて大満足。

いつものエンディングテーマも聞けたしねぇ。
ま、これまたシンプルな2作目のが一番好きだけど。

<2016.10.08鑑賞>

浮遊きびなご
GokiPinoyさんのコメント
2016年10月28日

超お久しぶりです!お元気ですか?

私は先月末に胆石で手術をしまして、
ちょっと生き返ったところです(苦笑)
さすがに健康の有難みを再認識しました。

きびなご氏もくれぐれも健康にご留意下さい。

さてこの映画は7月末に見てるのですが、
もうすっかり忘れました(苦笑)

昨夜はドクターストレンジを見て来ましたが、
これも日本での公開は来年の1月末だそうで、
その頃にはまたすっかり忘れてそうです(苦笑)

相変わらず邦画が見たくて仕方がないのですが、
貴殿のレビューを読むだけで我慢しております。

でわでわ。

P.S.
本日のシャイニング(苦笑)
goo.gl/fUlu45

GokiPinoy