「こんな役柄でも成立させてしまう名優の意地を見た!」ダーティ・グランパ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな役柄でも成立させてしまう名優の意地を見た!
今度のデ・ニーロはすごい。すご過ぎる。彼にとっての演技の師匠ステラ・アドラーは常々「俳優の命は“選択”にこそあり!」と生徒たちに語っていたそうだが、ならば本作のあまりに非常識なグランパ役も、デ・ニーロなりに入念に導き出した“選択”の賜物なのか? もう、口を開けばFワードを連呼し、長年連れ添った妻が死去したばかりなのに頭の中は若い女性とエッチすることで一杯。しかも『リベンジ・マッチ』のマッチョな肉体は今なお健在で、それらの心技体すべてが相まって、デ・ニーロ史上最大の迷走ぶりを堪能することができる。とはいえ、中盤までは口が開きっぱなしだった内容は、徐々に祖父と孫(ザック・エフロン)との絆が浮き彫りになるに連れてなんとか安心できる軌道へ集約されていく。世間ではデ・ニーロの小遣い稼ぎ作品と受け止められそうだが、“怖いもの見たさ”の面では惹きも強い。とりわけ彼の長年のファンにとっては異色中の異色ぶりを楽しむマストの作品となろう。
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