「「誰の命の大きさも変わらない」」アベンジャーズ インフィニティ・ウォー BBさんの映画レビュー(感想・評価)
「誰の命の大きさも変わらない」
時系列整理して、X-MEN基軸とMCU基軸両方一から見直して、ドラマシリーズも追いかけ始めた。
もはや推しキャラが分からなくなるほど、結構みんな好きだ。
一方4歳の娘は、推しキャラ「アイアンマン」が出ている作品を中心に観てきた。
そんな娘と家で楽しみに待っていたブルーレイを再生し、
終わった後「いい夢見られないね」と言いながら、寝ることになるとは…。
当然4歳の娘は、難解な部分全てを理解できるわけではないが、私が時々解説を入れながら一緒に観ているので、エッセンスはだいたい理解している。
コミック原作はチラホラしか読んでいないこともあるからか、まさかサノスが「人口増加問題に頭を悩ませ、苦渋の決断で滅亡しそうな惑星に向かっては虐殺を行ってきたが、より(自分含めて)誰も苦しまなくていいように、指パッチンでランダムに人口を消滅させられたらなー、というわけでインフィニティストーンを集めることにしたよ」って、そんな深いキャラだとは思いもしなかったわ!
「キングスマン」のヴィランも同様に人口増加問題を憂う大富豪。
ダン・ブラウンの「インフェルノ」のヴィランも人口増加問題を解決しようとウィルスを撒く(原作)。
大作の作り手がこぞって注目している「人口増加問題」。
ここまで来ると、日本では「少子化」が顕著な社会問題として取り上げられるあまり、注目されることが少ないんだけれど、世界では逆に「人口増加問題」がホットな大問題なんだよね、と気づくことができるかと。
いやはや本当に、サノスはその見た目と過去の作品での描かれ方からして、てっきり「ナチュラルボーン悪いやつ」タイプのヴィランかと思っていたけれど、まさか高知能「知識に呪われた」、世界、宇宙を愛する共感型ヴィランとは。
そのうち、フィクションが警鐘をならして来たように、本当に極端な行動に出る人が実生活でも出て来そうだな、という意味でもだし、
アベンジャーズの面々の結末にももちろんだし、
あらゆる意味で絶望感に頭を抱えながら眠ることになったインパクト大の作品だった。
強固な使命感のために、娘を殺す時に涙を見せたサノス。
より苦しまない方法で多くの人を送ることができ、
また、宇宙にバランスを取り戻すことができ、
心から安堵したような笑みを見せるサノス。
これだけアベンジャーズを応援して来たファンが、少しでもサノスに共感してしまうようなバックグラウンドを作り上げた事こそが、この作品が議論を巻き起こしているひとつの要因ではないでしょうか。
もっとサノスが心から理解できない、前振り通り最凶最悪のヴィランであってくれたなら、
あのキャラやあのキャラやあのキャラやあのキャラやあのキャラまでもが姿を消すことになるのに対して、もっと怒りを感じられたはずなのに…。
敵も味方もヒーローも。
地球に存在するありとあらゆる生物に優劣はなく、「誰の命の大きさも変わらない」と、
このタイミングで、大きな犠牲を伴いつつも伝える絶望的なラスト。
きっと現実もそうで、このまま我々が何も対策を練ることなく無尽蔵に増殖を続けていけば、訪れるのは「等しい」死なのである。
「観たいものを観せてくれる」監督だけじゃなく、「伝えたいことを伝える」ために作品を作る監督がいたっていいんじゃないのかな、
それがクリエイターだよね、と改めて気づかせてくれた作品でもあります。
決して「心から観たいもの」ではなかったので星0.5マイナスしましたが、色々ここまで追いかけて来た私にキッツイ現実を見せてくれたという意味で、トータルで4.5にしました。
※誰が消えるかわかっちゃうから、特典ディスクから見ないように!