「傑作の予感」スター・ウォーズ 最後のジェダイ 旧型ブレランファンさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作の予感
名作の続編は常に厳しい評価にさらされる。前と同じであれば「猿真似」と言われるし、新しいことをすれば「前はこんな風ではなかった」と酷評されるからだ。その点、EP7-8はどうだろうか。
その評価は真っ二つに割れているようだ。とくに批判が集中しているのは非科学的な要素と状況設定の粗さである。しかし前者については今に始まったことではなく、シリーズ全体を通してそうだったのではないか。宇宙なのに、どこにいても地球重力(1G)であるし、生身の体で外に出ても問題ない。「帝国の逆襲」では、宇宙生物の腹の中とはいえ、小惑星でもハンとレイアは生身で船外に出ていた。状況設定の粗さについては、あまり細かくやり過ぎると無駄に映画が長くなるとの判断があったのだろう。
それよりも、私にとって最も大事なのはストーリーとテーマである。今回のシリーズでは、愛する人から「見捨てられた」という痛みと悲しみを背負った二人の人物(レンとレイ)を中心に闇と光が交錯していく。これは今までのSWにはなかった新しいテーマ設定である。EP1-3では、アナキンを信じていたオビワンが裏切られ、4-6では父親を信じたルークがダースベイダー(アナキン)を救った。そこには「見捨てる」という要素はない。
そう考えると、今回のシリーズは旧シリーズの裏返しのように思われる。ダースベイダーは息子を殺さなかったが、レンは父親を殺した。ダースベイダーは師匠にとどめを刺されなかったが、レンはそのようになりかけた。ダースベイダーはサイボーグ化したが、レンは生身の体である。ダースベイダーは兵器の力に依存しなかったが(EP4のセリフ参照)、レンは依存する(ルークへの集中砲火)。ダースベイダーはオビワンを殺したが、レンはルークに騙されたような形で身をかわされた。ダースベイダーは最高指導者になれなかったが、レンはなれた。そう考えると、レンはダースベイダーより小物に見えるが、よりいっそう悪の限りを尽くせる動機と状況が整っていることが分かる。
果たして、この先どうなってしまうのか心配で仕方がない展開である。私はSWシリーズ初公開当時からのファンであるが、今回のシリーズも興味深く鑑賞している。そういう意味で、次回作への期待も込めて評価を5とした。ダースベイダーとは異なる道を歩んだ、いわば裏ダースベイダーとも言えるレンと、彼に関わるレイの運命がどう描かれるのか非常に楽しみである。