「評価が分かれるのはSWをどう見てきたかの違い」スター・ウォーズ 最後のジェダイ るいこすたさんの映画レビュー(感想・評価)
評価が分かれるのはSWをどう見てきたかの違い
これだけ評価が分かれるのは面白い。
SWは大きく言えば、やっぱりSFだし、壮大なスペースオペラで、アクション映画な訳だ。
ところが、そうした舞台設定の中で、描いてきたのは、家族の物語だ。そういった意味では、ヒューマンドラマでもある。
今作の評価がこれだけ分かれているのを単純化して考えれば、前者だと捉えてきた人には評価が低く、後者だと捉えてきた人には、評価はそれなりにあるのではないか。
なぜなら、善玉が悪玉をやっつけるシーンがほとんどないから。レジスタンス側の敗走しかないわけで、それは確かにやっぱりストレスは溜まる。ただ痛快なアクションシーンは意図的に排除していたようにも思える。それはヒューマンドラマとして際立たせたかったから。
ヒューマンドラマとしてはなかなか見応えがあった。伝説のジェダイ・ルークがこの争乱のきっかけのひとつを作っていたわけで、その贖罪のドラマが今作。伝説のジェダイが弟子を殺そうとしていたのだから、負ではあるが衝撃だ。
これは、ジェダイといえども、実は、人間という光にも闇にも揺れる存在であるというメッセージであるように思える。さらに言えば、スクリーンの外でも善玉の象徴となっている「ジェダイ」とは何なのか、その世間評にも考えを巡らせざるを得ない。
フォースとはバランスである、と今作では語られている。だとすれば、闇は光なしには存在し得ず、光もまた闇なしには存在し得ない。つまりジェダイ、フォースという神格化された光の物が存在するためには、闇もまた必要なわけだ。だからこそそれを左右するのは、結局、光と闇、どちらもあわせ持つ人間であると。それがこの新たな三部作のメッセージである気がする。
さて、気になる次回作。上のメッセージに従えば、最終的にはレイどころか、最後の少年も含めて、誰も彼もがジェダイになりかねないが、それはさておき。
軸はレイとカイロ・レンで間違いないが、気になるのは、レイの出自。今作では、何者でもないと言っていたが、ルークがいた島の記憶があるというのは、重要な伏線だろう。あんなにフォースが強いからには、スカイウォーカー家と関連があっても不思議じゃない。少なくともジェダイの起源と関わりがあるに違いない。最後、敗走する船にジェダイの書も積んであったし。
まあ、ルークはかつてのオビワンやクワイガンのように想念として登場してくるだろうし、あと何となくスノークも登場する気がする。あんなに簡単にやられちゃダメでしょ、シスなんだから(笑)それに光と闇という話なら、ジェダイにできて、シスにできない訳もないんだよな。
で、ルークとレイの力で善玉になろうとしていたカイロレンが、復活したスノークに苦しめられて、スノークを道連れに死ぬと。あんなにたくさん殺してるのにカイロレン生きてちゃダメだからね。
あと今作で分かったが、ルークの弟子が何人か生きてるんだな。これはレイの味方として登場するだろう。
次回作に向けて、いろんな伏線が張られていた今作はもう一度見ていろいろと確認したいな。
ちなみに星を5にしなかったのは、やっぱりカイロレンがダースベーダーを越えられていないから。もうこれは無理だけどね。
あとさ…低評価の中に、フォースの使われ方に文句つけている人いるけど、エピソード4~6見返してしてみ?あれが許容できるなら、今作も変わらんでしょ。
低評価の人ももう一度見方を変えて、見てほしい。
伝説というレッテルを貼られ、それゆえ弟子までとったルークがおかした過ちと、苦しみ抜いてきたこれまでの時間、そして肉体を失ってまで成し遂げた贖罪。それが、続編を発表するまで、実際に過ぎてきた現実の時間とリンクする。
そんな演出ができるのは、これがスターウォーズだからなんだと改めて思う。
色々ありまして(笑)、ep.8を高評価されている方のレビューを見ています。
私も高評価です。
この作品に限らず、賛否両論はつきものですが、この作品に関しては、立脚点の違いが評価を分けた気もします。
貴方がご指摘するとおり、光と闇はすごく納豆します。ルークが弟子を殺そうとしたとありますが、よくよく考えたらルークは全うなジェダイではないですよね?
誰かのパドワンでもないし、正式にマスターにもなっていない。ましてや、あのアナキンでさえ、育ち過ぎと言って難色を示されたのに、十分育っているルークがまともなジェダイになる訳ないやん!と思ったら、すごく納得がいくんですけど…。実際、劇中で怒りに任してダークサイドに踏み入れているし、おそらく、そういう風にダークサイドに踏み入れたのは、ルークとアナキンだけではないでしょうか?(あ、デューク伯爵もか)
そして、世界的に見ても神話は神から人間の話になります。日本書紀、ギリシャ神話しかりです。そうやって考えると、フォースがジェダイ(神)だけでなく、出自の不明な者に降りてくると納得でき、そこにも違和感はなかったんです。
そして、ルークは上手く死んだな(死なせた?)…とも思います。
ep.9でレイアは、どうやって処理するんでしょうね。そこで、また賛否両論が起こる気もします。
何にしろ、賛否両論は仕方ないですが、賛成派の人の理論的なレビューが読めて良かったです。
Impressive. Every word in that sentence was wrong.
この作品ではフォースの定義を陳腐な超能力の源へと変えてしまったと言っていいでしょう。残念至極です。
そういえば確か5でダゴバを訪れたルークも「懐かしい感じがする」的な発言してますよね。その理由は結局語られずじまいでしたが。
あとダゴバに出てくるダークサイドのフォースが強い洞窟と、今回のルークの島にもあった似たような穴、関連があるのかないのか。ダゴバではダースベイダーのマスクの下からルークの顔が現れることで、ルークの心の中にもダークサイドがあることを表現していました。今作でレイが自分の両親を知りたい、と言って岩に手を触れると結局自分の顔が映る、という演出は旧作と似ているようで結局何の意味もないように思えたのですが。
「伝説というレッテルを貼られ、それゆえ弟子までとったルークがおかした過ちと、苦しみ抜いてきたこれまでの時間、そして肉体を失ってまで成し遂げた贖罪」完全に同意します!!
英雄や立派なジェダイといった理想のルーク像を捨てて、1人の弱い人間として彼を見ると今作はめちゃめちゃおもしろいですよね。