「「フォースの覚醒」と対になる陳腐な作品」スター・ウォーズ 最後のジェダイ akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
「フォースの覚醒」と対になる陳腐な作品
「最後のジェダイ」では、ジェダイという特殊な能力と歴史をもつ騎士の一派の最後を描こうとしている。
この作品は成功しているのか失敗作なのか。話題になるという意味では成功作だろう。
超大作であるのに、実験作であることは確か。ここは、本作の本当のファンなら許せるはずだ。過去作を丁寧になぞっているのも、それはそれで楽しい。
カジノに乗り込むところは、なぜか楽しかった。武器商人たちが戦争の遠因を作っているというのも一理ある。レジスタンスの女整備士と帝国側を裏切った元兵士が力を合わせて帝国壊滅の作戦の一部を担うというエピソードも突飛でいい。本筋のストーリーではないので、キスくらい許しなさい。フィンは植物状態から蘇って逃げ出そうとしているところを再度帝国に忍び込んで作戦を遂行したんだよ。しかも特攻作戦で死ぬ覚悟で敵陣に飛び込んでいったのだから。
あと、ルークが、C3POから過去のレイアの映像を見せられて、おれも同じことをやってやろうと思ったのかどうかわからないが、とにかく最後に全力を絞ってフォースの力を見せつけ、レジスタンスたちを曲がりなりにも助けたのはこの物語の陳腐さを表していて素晴らしいアイデアだと思います。フォース万歳。
「ファーストオーダー」という帝国側が、もとの共和国側今は「レジスタンス」という名称になっている地下組織を徹底的に潰そうと躍起になっていた。そして最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを探し出して彼を殺そうと企んでいた。最初からシスが、なにもかも仕組んでいた。そのシスは死ぬ。あっけなく死ぬ。大将を失った戦争は終わるはずなのに、終わらない。このもどかしさ。でもたぶんこれこそがリアルだ。
もともとスターウォーズシリーズは、かなり能天気な宇宙戦争もので、強大な帝国だろうとデススターであろうとわずか一点の相手の最大の弱点を簡単に発見し、そしてその弱点を最小の部隊で命をかけて叩きに行くという陳腐なストーリーである。
レイが魅力的であるだけに、いくらジェダイとしての才能を持っていたとしてもあまりに早く訓練を終えていることに観客はびっくりし、なんらかの答えを探そうする。
カイロ・レンがアホなくせにファーストオーダーの実権を握っていることにも不条理を感じる。しかしつねに世界は不条理なものだ。
ともあれ、数十年前に若きルーカスが構想していたこの全九作からなる壮大な神話は、次の一話でとりあえずは完結することになる。挑戦こそが運命を切り開く。運命は強運を得て不可能を可能にする。まさにジョージ・ルーカスその人がこの物語の本当の主人公なのかもしれない。
物語の展開は早くなっている。見たくなければ見なければいい。もし自分が見たいものが見れなかったのなら、自分で自分自身が納得する物語を書けばいい。若きジョージ・ルーカスがそうしたように。ジョージ・ルーカスこそが神話であり、伝説なのだ。
この作品で、公式にルークの最後が描かれているのは確かだと思う。ジェダイを継承するのに、血筋ではうまくいかず、どこかの女の子がジェダイを継ごうとしている。いや、なにかの繋がりはあるのか?
次の9で製作陣がどのような形でこの複雑になったサーガ全体を終わらせるのか見てみたいので期待こめて4.5。