劇場公開日 2016年12月17日

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ぼくは明日、昨日のきみとデートする : インタビュー

2016年12月19日更新
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末っ子の福士蒼汰&小松菜奈がかけた“魔法”

映画の中ではある切ない運命で結びつけられた2人だが、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の撮影現場で福士蒼汰と小松菜奈を結びつけたのは“末っ子気質”。単なる末っ子ではなく、福士は姉2人、小松は兄2人を持つ末っ子だというのがポイントである。映画について、撮影の様子について話を聞いたが、マイペースな2人の話題はなぜか“末っ子あるある”へ……。(取材・文・写真/黒豆直樹)

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七月隆文のベストセラーを、「アオハライド」「青空エール」などの青春映画の若き名手・三木孝浩監督が映画化した本作。30日間という限られた時間の中で、美大生の高寿と彼が電車の中でひとめぼれし、勇気を出して声を掛けた愛美の不思議な運命に導かれた恋が綴られていく。

これまでも数々の恋愛青春映画に出演し、学園の“王子様”や、絶対的なイケメンを演じてきた福士だが、冒頭、愛美と出会った時の彼の姿は、そんなこれまでのイメージとはかけ離れた、何ともサエない青年である。

「最初はとにかくダサいです! カッコ悪い高寿を前面に出そうと考えました。メガネで襟足も伸ばしたままで、マフラーに顔をうずめた感じ。監督からは『30日間の中での高寿の成長を段階的に見せていきたい。最初と最後で全く違う顔に見せたいんだ』ということで、特に冒頭は『誰も見たことのないカッコ悪い福士蒼汰を見せたいんだ!』と。見た目だけでなく、挙動不審で目も合わせられずにキョロキョロしてる感じも出しました」。

一方の小松に関しては、予告編を少し見ただけでも伝わるだろうが、三木監督はとにかく、彼女が演じる愛美をただひたすら、美しく、かわいく映すことに全力を傾けたと言っても過言ではない。求められたのは、男性の目線から見た理想の彼女!!

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「今回の役は…とにかくシビれましたね。もともと、声は低い方ですが、本読みの時点で監督から『もうちょっとトーンを上げて』とか『語尾を少し上げて』と言われました。男性の理想の女の子…そういうのは苦手なんです(苦笑)。『バクマン。』もそうだったんですけど、しっとりとした女の子の役って、自分の中では歯がゆさを感じる部分もあって…。だんだん『女の子らしいって何?』とか考えすぎちゃったりもして。電車の中で、本を読みながら髪をかき上げるのは、そういうちょっとしたしぐさは女の子にしかできないもので、『良い』って聞いて取り入れてみたんですが…(笑)。細かい部分は、手探りで監督と相談しながら作っていきました」。

福士は小松について「最初はクールな印象が強かったですが、お会いして初日にイメージが変わりました。すごく明るくて、相手との距離感を測れる方だと思いました」と語るが、撮影が進む中で、小松から自身と同質の末っ子ならではの気質を感じ取った。

「末っ子って、最初は『この人はどんな人かな? 仲良くなれるかな?』と観察してる人が多いと思うんです。それで『イケる』と思ったら、すっと距離を縮めていく。慣れてきた女性スタッフさんやスタイリストさんとのやり取りを見ていて、あ、末っ子だなと思いました(笑)」

小松もまた、全く同じことを福士に対して感じていた。

「カメラテストで初めてお会いしたんですけど、2人並んで鏡の前でメイクしてもらっていても、何をしゃべっていいのか…(苦笑)。どんなキャラなのか全くわからずクールで物静かな人なのかなって。でも、撮影に入るとお互い末っ子ってわかって、打ち解けましたね。どんな人なのかな? と見つつ、おんなじだってってわかると、一気に仲良くなる(笑)」。

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インタビューの場でも、最初に質問が投げかけられると、どちらも言葉には出さないが、相手に先に答えてほしそうな顔をし、譲り合う姿が見られたが、ワイワイと2人で話すとなると、会話が止まらない。

「基本、(末っ子って)やりたい放題っていうか、天真爛漫だよね(笑)?」と小松が言えば、福士も「ここは甘えて大丈夫と思ったら行動します!」と頷き「上のきょうだいを見て、自分はどうすればいいか学んでいるので」と負けていない。さらに、小松が「(福士は)マイペースで、天然な部分も入ってるよね」と言うと「それは小松さんです(笑)!」と福士。現場でもこんな感じだったそうで小松曰く「ここに東出(昌大)さんも入ると、ヤバいんですよ(笑)」。

「みんな天然で、基本、人の話をあまり聞かずに自分の話したいことを話しているんです(笑)。『聞いてた?』『え? 何が?』という会話を繰り返していたと思います。ツッコむ人がいないんです! あえて言うなら、監督だったと思います(笑)?」。

三木監督の苦労がうかがわれるが…その甲斐あって(?)、生き生きとした、見ていてくすぐったくなってしまうような恋人たちのやり取りが、30日の映像の中にみずみずしく閉じ込められている。

「魔法が掛かっています」――小松が最後に語ったこの言葉が、彼らが作り出した特別な空気を表している。

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