劇場公開日 2018年4月20日

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「スピルバーグの自分史を織り込んだ私的なSF」レディ・プレイヤー1 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スピルバーグの自分史を織り込んだ私的なSF

2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

待ってました!これだよ、これ!と心の中で叫んでしまった。期待以上の作品だった。久々にスピルバーグ監督の映像魔術の術中に完全にはまってしまった。本作は、円熟味を増したスピルバーグの想いが込められた深みのあるSFアドベンチャー作品である。

本作の舞台は、2045年。人々は、荒廃した現実世界を逃避して、オアシスと呼ばれる仮想世界でアバターとして自由に生きることに救いを求めていた。そのような状況の中で、オアシスの創始者であるジェームズ・ハリデーは、遺言として、オアシス内に隠したイースターエッグを探し出した者に莫大な遺産とオアシスの所有権を与えると宣言する。人々はイースターエッグの在処の謎を解く3つの鍵を血眼になって追い求めていく。主人公の高校生・パーシヴァルもその一人だった。彼は当初は一匹狼だったが、次第に仲間を増やし、エイチ、アルテミス、ダイトウ、ショウという仲間と共に、イースターエッグに迫っていく・・・。

なんといっても仮想世界の描写が圧倒的である。宝石箱から宝石が溢れるような過剰さで、スピルバーグ監督の溢れ出す才気をそのまま映像化した感がある。抑制、整理などというケチな手法は捨て去った潔さが心地良い。映画ファンには堪らない過去作やキャラクターをふんだんに盛り込んだ、スピード感溢れる圧倒的な映像に酔いしれることができる。荒廃した現実世界との対比が鮮明であり、主人公たちがオアシスに心酔する理由が得心できる。映像ばかりではなく、ストーリー展開もしっかりしている。過剰な映像情報を手際よく捌いて纏めていく手腕はさすがスピルバーグ。仮想世界でのド派手なアクションで謎を解きながら核心であるイースターエッグに迫っていくプロセスは、傑作冒険活劇インディ・ジョーンズを彷彿とさせる。

本作は単なる仮想世界を舞台にしたSFアドベンチャー作品ではない。スピルバーグは自分自身を見つめている。ストーリー展開は、スピルバーグの自分史そのものである。オアシスに熱狂する主人公は若き日のスピルバーグである。本作で登場する過去作やキャラクターは、スピルバーグが出会って影響を受けた作品、キャラクターである。そして、ラストシーンのメッセージはスピルバーグが様々な人生経験を経て辿り着いた枯淡の境地である。バーチャルリアリティが未来を担う最先端技術として持て囃される現代であればこそ、温かく味わい深いメッセージとして心に響く。

このメッセージに出逢うために、今まで私は彼の作品を数多く観てきたかもしれない。そして、これからも、このメッセージの余韻に浸りながら彼の作品を観続けるだろう。

みかずき
唐揚げさんのコメント
2022年6月2日

みかづき様
返信とフォローありがとうございます!
名前は別にテキトーで大丈夫ですよ👌
内容が深く読み応えのあるレビュー、いくつか読ませていただきました
どうぞ、よろしくお願いします

唐揚げ
とみいじょんさんのコメント
2022年4月4日

みかずき様

お返事とフォローありがとうございました。
よろしくお願いします。

とみいじょん
とみいじょんさんのコメント
2022年4月3日

みかずき様

コメントをありがとうございました。

お久しぶりです。
 はい、ぴあ映画生活でも「とみいじょん」でレビューを投稿していました。
 「ぴあ映画生活」では、お知らせメールが文字化けして、コメント等をいただいても、レスができずに失礼しました。
 そんなこともあって、こちらのサイトに投稿していました。

 また、ご一緒できるのを楽しみにしています。
 よろしくお願い申し上げます。

とみいじょん