「ダンケルクの名誉ある撤退」ダンケルク 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ダンケルクの名誉ある撤退
ダンケルクの名誉ある撤退(1940年5月26日~6月4日)
ドイツ軍に完全に包囲されたフランスのダンケルク。
その10日間。
英国陸軍2等兵のトミーがドイツ軍に襲撃されて、
たった一人生き残り、ダンケルクの浜にたどり着く。
そこまでの「陸の一週間」
ドーソンなどの民間船が救助に向かう「海の一日」
6月4日のイギリス軍の戦闘機に襲いかかるドイツ戦闘機を
迎撃する「空の1時間」
その「陸・海・空」の戦いががクロスして描かれる。
異様なほどの緊迫感と臨場感そしてラストに従って起こる高揚感。
撤退という後退を描きながら、戦意が高まっていくのは何故だろう。
ケネス・ブラナーのボルトン海軍中佐。
英国戦闘機スピットファイアのパイロットのトム・ハーディ。
その他の大物俳優はほとんど出演していない。
多くは名も無き若き兵士たちだ。
だが、この映画の何が新しいのだろう?
ともかく新鮮なのだ。
ともかくリアルなのだ。
今そこで起きてる戦闘のように、迫ってくる。
多分、カメラだ。
撮影がいい。
目の前、手の届くすぐそこに兵士がいて、戦艦に魚雷がぶつかり火を吹き
海は火の海。
兵隊はゾロゾロと船底から出てきて、船から這い出す。
夜の海に浮かぶ兵士たち。
本当に6月4日の穏やかな海で良かった。
凍えるほど寒くない。
呑まれるほどの高波もない。
不幸中の幸いかな。
ハンス・ジマーの音楽は主張せずに寄り添う。
メロディ・ラインよりオーケストラの低い響きを優先する。
「ダンケルクの救出」
居合わせた40万人の兵士のうち33万五千人が
救出されました。
名誉ある撤退。
民間船に応援を要請したチャーチル及び連合軍の指揮官。
この民間船(貨物線、漁船、遊覧船、救命艇にヨット)
民間船は沖で待つ駆逐艦に兵隊を乗せてピストン輸送。
この撤退作戦を【ダイナモ作戦】と呼ぶ。
ダイナモ・ルーム(ダイナモとは発電機のことで、
ドーバー城地下の海軍の指揮所の一室)
そこにイギリス海軍の中将ラムゼーが作戦を計画し、チャーチル首相に
ダイナモ・ルームで作戦を説明した。
民間船と民間人が救出劇に参加して、大きく貢献したことで
連合軍の士気は大いに盛り上がったのでした。
ダンケルクの戦いを今に伝える映像が素晴らしかったです。
> 緊迫、高揚感
ノーラン監督を表す単語として秀逸だなあ、とレビューを読んで思いました。反面、人情みたいなものは薄く薄く描く監督だなあと感じますが、だからこそキューブリック監督の再来といったように言われるのかもしれませんね
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。
多分シンセサイザーも使われてたと思います。
早く「オッペンハイマー」観たいです!!ひょっとしたら日本では劇場公開されずに真っ直ぐ配信になるかもですね