「戦争トラウマ」ダンケルク 由良さんの映画レビュー(感想・評価)
戦争トラウマ
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幼い頃に母と姉とで『蛍の墓』を劇場で見に行ったが、姉はその後戦争に対してトラウマになり戦争映画を嫌がるようになった。
もしこの映画を幼少期に家で父が見ていたのなら、確実に私もトラウマになったであろう。
全体的に描写が生々しく、ミサイルや銃弾の音などが終始激しく響いて、不安心理を仰いでいた。
主人公(?)の英兵に紛れた仏兵と行動を共にしている英兵が射たれるのではないかとハラハラさせられる。
一方で、取り残された兵士たちを助けに向かった民間の船を操縦する親子とその息子の友人が遭難した英兵を一人救助するが、英兵は錯乱して船をひきかえそうとして息子の友人に殴りかかって深傷を負わす。
自分の犯した行為に兵士は冷静になった後に後悔し友人の様態を息子に聞くが、息子は不機嫌に「良くない」とだけ、呟くだけだったが、苦しい戦局を目の当たりにした息子は他の救出した兵士が友人が死んでいることを告げられた後に、友人を殴った兵士が友人の様態を聞いたら「大丈夫だ」と穏やかに伝えていた。
この表現は本当に凄かった。
なかなかこういう展開を描くことってできるだろうか?
こういった不条理の表現が出来るのは、さすがクリストファー・ノーランだなと感じえなかった。
防衛のためには戦争も致し方ないと言っている人にこそ、見せたい映画だ。
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