「醤油顔のフルメタルジャケットのような…」ダンケルク masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
醤油顔のフルメタルジャケットのような…
音が主役の映画という表現が一番当たっているような気がする。
轟音と静寂のコントラストで、観ている者の緊張を高め、ホッとさせたり、ギョッとさせたり。鑑賞後に調べてみたら、体験型という形容がちらほら。
既にボーンシリーズやブレアウィッチのような前例もあるのではと思ったが、カメラワークではなく音響で観客の体感度を上げたということか。
作中、一滴の血も見せず(顔にちょっとついてる程度はあったが、プライベートライアンのように夥しい流血や臓物ブラブラなどの血なまぐさいカットはなし)、フルメタルジャケットのように壊れゆく人間の狂気も増幅せず(一瞬血迷う若者はいるが、結構あっさりと人間らしさを取り戻す)、ごく淡々と、戦火に於ける人としての尊厳を描く。
やっぱり欧米人はメンタル強いな、企業買収の問題に対峙する商社マンのように戦争の問題に向き合ってる…なんていうことをツラツラ思いながらも、要所要所ではドキドキハラハラし、気付いたら終わっていた。
時間軸が錯綜する後半は、ちょっとわかりにくかった。特に、トムハーディーが操縦するスピットファイア〜が、救助に向かった商船を爆撃機から救った場面は、「なぜエンストした戦闘機が打ち落とせたの?」としばらく大きなクエスチョンマークが頭上から消えなかった。
この辺は、機種の違いを一瞬で見分けることができるミリタリーオタク向けのエピソードではないかなあ。
撮影技術など、観せ方は確実に向上しているのだけれど、映画ってそれだけではないんでないかなあ、とスターウォーズ最後のジェダイになんとなく期待しているのである。(なんの脈絡か自分でも不明)